不動産を売る時、複数の不動産会社にお願いしたらNGな理由。

売買

所有している物件を売りたい。

出来るだけ高い値段で売りたい。

物件を売却した経験がない方でも、いざ自分がその立場になったならばそのように考えると思います。

唐突にすみません。いつも恐れ入ります。青二才と申します。

不動産に関わらず何かしら「モノ」を売るときにはみんな可能な限り高く売りたいですよね。

青二才
青二才

そんな時に選択肢として最有力なのが「不動産会社に買主を見つけてもらう」です。

不動産会社もタダでは動いてくれませんから、売主は買主を探してもらうために「媒介契約」を不動産会社と結ぶ必要があります。

媒介契約(ばいかいけいやく)とは?

➡物件の売主が家の売却を不動産会社に依頼すること。つまり依頼した不動産会社に買主を見つけてきてもらうこと。

経緯は関係なく、結果的に依頼した不動産会社が買主を見つけてきてくれたら、売主は仲介手数料として「売却価格の3%+6万円×税」を報酬として支払います。

例えば3,000万円で売却が決まったとしたら

3,000万円×0.03+6万円×1.1=105万6,000円をお支払いするという計算です。

さて。ここまでを踏まえると売主はこんな事を考えそうなものです。

売主
売主

「どうせ仲介手数料を支払うなら営業力の高そうな会社と何社も媒介契約を結んだ方が良い条件で早く売れるのでは?」

世の中には皆さんが想像している以上にたくさんの不動産会社が存在していますので、何もそのうち1社に限定してお願いしなくたって良いじゃん!という理論ですね。

このように複数の不動産会社に売却を依頼可能な契約のことを「一般媒介契約」と呼びます。

今回の記事でオススメしないのはこの「一般媒介契約」のことです。

※勘違いされがちなのですが、不動産がいくらで売れるのか?という「売却査定依頼」は媒介契約よりも手前の段階なので別物です。こっちは複数社に見積もりを出してもらった方が良いです。

逆に1社にだけ売却を依頼する契約は「専任媒介」「専属専任媒介」と呼びます。

青二才
青二才

先に今回の記事の結論を述べさせて頂きます。

1.一般媒介は不動産会社目線では優先度が低くなるし、広告宣伝も積極的にはやり辛くなる

2.本気で売却を考えているなら専任媒介でお願いした方が結果的にお得なことが多い。

ではその理由をひとつずつ、不動産会社目線で解説していきますね。

なお今回の記事は「物件の購入を検討している人」にも気付きがあるように書いていきます。

購入を検討している物件の取引態様が「専任媒介」「一般媒介」だった際には、是非この記事から不動産会社側の考えを把握して自身の取引・交渉に活かして下さい!

一般媒介をオススメ出来ない理由

専任媒介と比べて不動産会社にとっての優先度が低くなりがち

不動産会社にとって「媒介契約」というのは非常に重要な契約なんです。

何故なら物件を売りたい人を見つけること自体、実は結構ハードルが高いからです。

青二才
青二才

・売却査定します!

・売却の相談を無料で受けます!

とか宣伝している不動産会社、多いと思ったことはありませんか?

それだけ一般の売主と繋がりを持つのは大変で、どの不動産会社にとっても大事なテーマなんです。

むしろ「買いたい人を集めて売上を作る会社」よりも「売りたい人に寄り添って売上を作る会社」の方が圧倒的に多いくらいですよ。

さて先程も説明しましたが媒介契約を結んだうえで物件を成約させれば、不動産会社目線では最低限売主から3%+6万円×税の仲介手数料を受け取れます。この安定収益こそが不動産会社にとって魅力的な部分と言えます。

青二才
青二才

では物件が成約になったとしても売主から仲介手数料を1円も受け取れない可能性があるとしたらどうでしょうか?

不動産会社の立場で考えてみて下さい。媒介契約を結んだので売主のために精一杯頑張って集客活動を行ったのに、いざ物件が決まっても仲介手数料が貰えないかもしれないんです。嫌ですよね。

はい。そんな可能性を残している媒介契約こそが「一般媒介」ってことです。

何故かというと「売主が他の不動産会社とも媒介契約を結べる」から。

具体的な例を会話方式で見てみましょう。

売主がA社とB社にそれぞれ一般媒介で物件の売却を依頼していると仮定します。

売主
売主

今住んでいるマンションを売りたいな。近くに気になる不動産会社が2社あるから両方に売却をお願いしよう!

A社
A社

是非ウチにお任せ下さい!

・・・あ、他社にも任せるんですね。では一般媒介契約を結びます。

B社
B社

弊社だけに任せた方が良いですよ!専任媒介で!

・・・既にA社と一般媒介結んでるんですか。ではこちらも一般媒介になりますね。

A社・B社共に営業活動に力を入れましたが、今回はB社が買主を見つけてきました。

売主は報酬としてB社に仲介手数料を支払います。またB社がダイレクトに買主を見つけてきたならその買主からも仲介手数料を貰えます。(売主と買主の双方から仲介手数料を受け取れることを両手仲介と呼びます)

売主
売主

納得いく金額で売れて良かったですよ。はいこれ仲介手数料。

B社
B社

やったぜ。頑張った甲斐があった~

このケース、A社も同様に頑張りました。広告も打ちましたし、人員も割きました。

でもそんなの関係ないんです。一般媒介の場合、他の一般媒介を結んでいる会社が物件を成約させたら

売主からの仲介手数料は一切貰えません。なのでA社はタダ働きになってしまいました。

A社
A社

だから一般媒介は嫌なんだよなあ。。。

しかも今回の例では一般媒介契約を結んでいる会社が2社だけでしたが、極端な話をすれば売主は何社と一般媒介契約を結んでも良いので、不動産会社からしたらライバルが他に何社いるかすら分からないこともあるのです。

もしもA社だけが専任媒介で売主と契約を結んでいたなら、少なくともB社が売主と繋がることはありませんでした

よってA社が業者間に物件情報を流していてその情報をもとにB社が買主を見つけてきたとしても、

A社➡売主から仲介手数料を貰える

B社➡売主からは貰えないが買主から仲介手数料を貰える

というようになるのです。(これを片手仲介と呼びます)

事例でのA社のように一般媒介契約ではどれだけ活動に力を入れたところで結果を出さなければ1円にもならない、という大きなリスクが付いて回ります。

不動産会社が専任媒介でやる気マックスになるとすると一般媒介では50%~60%くらいでしょうか。

どうしても一般媒介の物件に対しては優先度を下げざるを得ないと考える不動産会社が多いです。

一般媒介だと広告宣伝費も掛けにくい

さらに一般媒介をオススメ出来ない理由を挙げるなら「広告宣伝費を掛けにくい」が浮上します。

理由はこれまた先程と同様。一般媒介を結んでいる他社(ライバル)が物件成約まで導いてしまうとタダ働きになるからです。

ここに結構な広告予算を掛けていたならばタダ働きところかその分マイナスになってしまうワケですよ。

媒介契約を結んだ不動産会社が行う主な広告宣伝は以下の通りです。

・ポータルサイト(スーモなどの物件検索サイト)へ掲載する

・チラシを作って物件の近隣エリアに配る

・ホームページに物件を掲載しリスティング広告などで集客する

・(一般媒介を結んでいない)他の不動産会社に情報共有して買主を見つけてきてもらう など

いずれもちゃんとお金が掛かります。

専任媒介ならばいざ知らず、タダ働きになるかもしれない一般媒介物件に広告宣伝費まで掛けるのはリスクでしかないと思いませんか?

広告宣伝費を掛け辛い=買いたい人に情報が行き届かない可能性が高くなる

ので、結果的に複数の不動産会社に売却を任せる「一般媒介」は売主が想定しているような良い相乗効果を生まないんですね。

一般媒介だとレインズへの掲載義務がない

青二才
青二才

そしてこれが一般媒介をオススメしない最大の理由です!

レインズとは端的に言えば「売主の利益を守るため、売却を依頼を受けた不動産会社が他の不動産会社にも情報を共有出来るように作られた不動産会社専門の物件情報ネットワーク」です。

自社の利益ばかりを考えて情報を独り占めしようとする不動産会社が多いので、レインズに物件情報を掲載させることで全国どこにある不動産会社でも平等に買主を探せるようになっているんです。

レインズについてまとめた記事もありますので気になる方は是非ご覧になって下さい。

しかしこれはあくまで「専任媒介」「専属専任媒介」等のやろうと思えば情報を独占出来る状態を防ぐものでもあるので、最初から情報独占しようがない「一般媒介」ではレインズに掲載する義務がないのです。

もちろん一般媒介の物件だってレインズに載せても良いですし、実際にレインズで検索すると何件かはヒットします。

しかし基本的に不動産会社目線では一般媒介の物件をレインズに掲載するメリットが薄いため、手広く業者間に物件情報が公開されない可能性が高くなるのです。

青二才
青二才

不動産業者間に物件が公開されないとなると「一般媒介を結んでいる会社たちが頑張る」以外で買主を見つけてもらう手段が少なくなってしまいますね。

ただでさえ活動の優先度が低く広告宣伝費も掛け辛い状態なのに、他の不動産会社の協力を得ることも出来ないんじゃ、一般媒介のデメリットばかりが目に付いてしまいますよね。

今回のまとめ

売りたいときはどこか1社に専任媒介で任せよう!

結論としては「専任媒介」で1社に任せることをオススメします!

専任媒介なら「レインズ」を通してB~D社のような不動産会社にも働いてもらえます。

①専任媒介で任せると不動産会社にとっての活動優先度が上がる

➡最低でも売主から、上手くいけば買主からも仲介手数料が受け取れるから!

②専任媒介だと広告宣伝費を掛けやすいので買主が見つかりやすい

➡報酬をある程度計算出来るからこそ可能な範囲で広告予算を設けてくれる!

③専任媒介ではレインズへの掲載義務がある

➡他の不動産会社にも販売活動をしてもらえるので買主が見つかりやすい!

特にレインズ掲載の項目に着目すると、

1社と専任媒介を結んでレインズに掲載してもらう>複数社と一般媒介を結んでレインズには掲載されない

となるので、むしろ手広く効率的に買主を探してもらう点だけで考えても一般媒介より専任媒介の方がオススメという事になります。

いかがでしたでしょうか。不動産を売りたいときには「この会社にだけ任せるなんて怖いな」とか考える時もあるかと思います。

しかしこうして媒介契約毎のルールや不動産会社のモチベーションを事前に知れていると、よりメリットの多い選択肢が取れるようになりますよ。

※ただし販売力のある不動産会社に専任媒介で任せると、すぐに好条件で決めてくれる可能性がある一方で「囲い込み」のリスクも付き纏います。

↑囲い込みをしなさそうな会社に専任で任せるのが青二才的にはベストです。

では今回はこの辺りで。

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