こんにちは。青二才と申します。
〇簡単なプロフィール
マグロの赤身が大好きなアラサーの一般男性。不動産テック関連の仕事に約10年間従事。宅建士免許保有。
今までに様々な業態の不動産会社500社以上とお付き合いさせて頂きました。
ミルクティー好きだけども後味はキライなので、外では飲まないタイプの人間です。
今回は実際に住宅の購入を検討している方にありがちなお話です。
折角家を買うなら新築戸建を買いたい!と夢見る方も多いのではないでしょうか。
理想は土地から買って希望のハウスメーカーで立派な注文住宅を建てて・・・
などと考えたりもしますが、エリアや世帯収入によっては容易に実現させるのも難しかったりしますね。

そこで頼りになる庶民の味方が「建売住宅」です。
建売住宅であれば注文住宅ほどの自由度はありませんが、より安価にそれなりの規格の新築戸建を購入する事が出来ます。
また日本国内でも多くの建売会社が存在しているため、建売住宅の中でも好みの仕様を選ぶ事も可能になってきている昨今です。
しかもこれらの建売会社はほとんどが宅建業の免許を保有している=不動産会社となっていますので、彼らが建てた新築戸建を直接購入すれば仲介手数料は一切掛かりません!

仮に新築戸建が4,000万円で売主からではなく仲介会社経由で購入したなら
4,000万円×3%+6万円=126万円(税抜)
もの金額を追加で払う必要があるんですから、売主から直で買うのがどれだけメリット大きいかは一目瞭然と言えます。
そのため私自身も当ブログで
「家を買うなら出来るだけ自社売主&直接販売している不動産会社で買った方がお得ですよ」
と紹介し続けていきました。
前置きはこの辺りにして本題に入りましょう。
この間、筆者がリアルの友人と話していた時にこんなやり取りがあったのです。

一旦中止してたんだけど、また家探し(売買)を再開したのよ。
で、出来るだけ仲介手数料を払いたくないからスーモかなんかのサイトで売主物件を探してたんだけど、やっぱり同じ物件をたくさんの仲介会社が載せてるのばっかりであんまりなくてさ。

でもしばらく探していたら1社しか公開していない新築戸建があったのよ。

ほーんそうなんだ。その物件を載せている会社が売主だったの?

いや。取引態様を見たら「仲介」ってなってたから売主ではなかった。
でも施工会社みたいな項目を見たらその会社と同じ名前だったんだよね。
施工会社が「佐藤建設」だとしたら販売会社が「佐藤不動産販売」みたいな感じ。

これって売主だと仲介手数料が取れないからグループ会社を仲介で挟んでいるって事だよね?
だとしたら何か汚いよなあ。法的には問題ないのかな?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
要するに
「売主企業が仲介部門のグループ会社を間に挟んで実質買主からも仲介手数料を得ようとする行為は問題ないのか?」
という主張だったわけですよ。
実際に似たようなケースで公開されている物件もありますから、決して珍しい話ではありません。
そこで今回は上記のようなケースに出くわした時の考え方・対策について解説していこうと思います。
売主企業がグループ会社を間に挟む手法はアリ?

結論から申し上げますと「楽勝でアリ」です。
いくらグループ会社であったとしても、正確には別会社ですからね。

友人に対しては即レスするか迷ってしまいましたが、そのあとでちゃんと説明しました。
なんかズルい気がする!というお気持ちも分かるのですが、そもそもこの手法が弱点のない完璧なものという訳でもありませんからね。
まずはそこから解説してきます。
弱点:グループ会社だけに任せている分、長く売れ残るリスクが・・・。
通常、自社で新築戸建を建てるような売主会社が効率的に販売するために取る手法は
「売主として手広く他の仲介会社に情報を行き渡らせ」
「早期に買主を見つけてきてもらい」
「その報酬として買主を見つけてきてくれた仲介会社に仲介手数料を支払う」
です。
他社に仲介手数料を払わなくてはならないデメリットこそありますが、客付に強い仲介会社達が一斉に物件成約までのお手伝いをしてくれますので、早期に売れる可能性が高まります。
一方で自社のグループ会社だけに任せる手法だと、仲介手数料が同一グループ内から外に出ない代わりに、販売の段階で他の仲介会社達の協力を得る事が出来ないのです。

建物が完成してからもしばらく売れないような状態が続くと、物件価格そのものを値下げする必要が出てくる事もあります。この場合平気で100万円~200万円程度の値下げを敢行するケースも少なくありません。
物件価格を100万円以上値下げして成約させるくらいなら、仲介手数料を満額他社に支払ったとしても定価で契約になった方が最終的には利益が出るなんて良くあるお話です。
まあ実際には値下げするかしないかの判断を下す前に他の選択肢として
「グループ会社だけではなく他社にも情報公開する」
も挙がって来たりもします。
想定していた通りに事が運ばなければ軌道修正する、というのはどの業界でも同じお話ですね。
売主企業を特定出来ているのだからグループ会社を通さなければOKでは?


ん?よく考えたら売主企業は分かってて、しかもその会社も不動産免許を持っているんでしょ?じゃあその売主企業に直接行けば全て解決じゃないの?
では上記のようなパターンではいかがでしょうか。
この場合、売主企業が「取引態様:売主」として物件情報を公開しているかどうかが争点になってきます。
「施工会社」の項目で売主企業が特定出来たからと言って、公開している会社がグループ会社であれば一般人に売主企業へ問い合わせする術はありません。
もちろんWEBで探せば売主企業の連絡先は分かりますが、いざ連絡しても
「ウチでは公開していないのでグループ会社に問い合わせをして下さい」
「グループ会社の担当者から折り返し入れさせますね」
といった形で対応されるだけでしょう。
なので結論として、その売主企業が直接情報をスーモなどのポータルサイトや自社ホームページに公開していないのであれば、直接行っても有意義な結果には繋がりません。
じゃあどうすれば良いの?代替え案を2つご紹介!

①グループ会社の取引態様を再度チェックする
対策の一つ目は「取引態様:代理」になっている物件を狙うことです。
「専任媒介」「仲介」で公開されていたら購入時に仲介手数料を支払う必要性がありますが、
「代理」であれば仲介手数料を支払う必要はありません。

そのグループ会社が「売主企業の代理の立場で」公開している物件ですからね。
お客さんからすれば実質売主と直接やり取りしているのと変わりがありません。
売主⇒佐藤建設
代理⇒佐藤不動産販売
みたいになっていれば、佐藤不動産販売経由でしか買えなかったとしても仲介手数料の支払い義務はありません。
このように同一グループ内で「新築分譲・建築」「不動産販売部門」がある不動産会社で住宅購入を検討する際には、公開物件の取引態様を入念にチェックする必要がある訳です。
仕組みさえ分かっていればそれだけでOKという簡単な手法になっていますので是非に。
②仲介手数料もコストとして組み込んで他社物件と比較検討する
もう一つの対策は仲介手数料に囚われ過ぎない事です。
例えば同じ物件を複数の仲介会社が公開しているケースにおいては、仲介手数料を払わなくて済む選択肢があるなら優先すべきです。
しかし当記事のケースでは売主企業が自社で公開せず、販売をグループ会社のみに任せています。
ここで重要なのは「その物件は他の仲介会社経由では購入出来ない可能性が高い」点です。
よってもしもアナタが

この物件すごく興味あるけど「佐藤不動産販売」って会社だけが「専任媒介」で公開してるわ。
仲介手数料は絶対払いたくないからこの物件を「仲介手数料を0円にしてくれる仲介会社」にお願いして紹介して貰おうかしら♪
と賢い立ち回りを思いついたとしても実現不可能だったりします。
ではどうすれば良いか?
答えは「物件価格+仲介手数料」までを覚悟したうえで他の物件と比較する事です。
「仲介手数料が0円になる条件での新築戸建」と比べてみて、仲介手数料を払ってでもその物件が欲しいと思うならそう決断するのが望ましいでしょう。
仲介手数料を払うほどではないな・・・。と思うならそれまでの物件というお話です。

難しい話ですが、仲介手数料はあくまで住宅購入時における一つの要素に過ぎません。
どうしても外せない条件として付帯しているのであれば受け入れる度量も時には必要です。
3,000万円の物件なら105万6,000円。
決して無視出来ない金額ですが、一生で購入出来る家はそう何個もありませんからね。
であれば今回のケースでは仲介手数料を諦めて、その分少しでも物件価格の値下げ交渉に費やすという手法の方が結果的にコスパ良く購入出来るかもしれませんよ。
では今回はこの辺りで。
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