【売却査定サイトのリアル③】一番高い査定額を出してくれた会社に任せるべき?

売却(家を売る)

こんにちは!青二才と申します。

〇簡単なプロフィール

マグロの赤身が大好きなアラサーの一般男性。不動産テック関連の仕事に約10年間従事。宅建士免許保有。

今までに様々な業態の不動産会社500社以上とお付き合いさせて頂きました。

好奇心から実際に二階から目薬を垂らしてみた経験があります。ダメでした。

勝手に執筆している長編シリーズも3本目に突入しました。

一本目。売却査定サービスそのものについての説明もコチラにまとめてあります。
二本目。若干のタイトル詐欺。

↓一応こちらでも売却査定サイトをご存知ない方のために簡潔にまとめさせて頂きますね。

☆売却査定サイトとは!?

「物件を売りたい人」「不動産会社」をマッチングするサイトのこと。

物件の簡単な概要を入力するだけで、そのエリアを得意としている複数の不動産会社が無料で査定金額を算出してくれる。

複数の不動産会社が具体的な金額を提示してくれるので、一番高い金額で出してくれた会社にそのまま売却を任せるケースが多い。

最近では無料のサービスである事を最大限活かし、今住んでいる物件の価値がどうなっているかを確認するためだけにサービス利用する顧客も増加している。

また査定は机上査定のみで希望を出す事も可能。

※机上査定・・・実際に訪問する事なく、WEB上で査定を行ってもらう方法

物件の売却を検討している人にとっては、

「不動産売却に積極的でノウハウも持っている複数の不動産会社に、無料で同時に物件の査定を行ってもらえるサービス」

ですから、なるべく上手く活用してきたいところですよね。

しかしこれが実際に利用してみると中々に面白く、査定依頼を受け取った不動産会社(5~10社程度が多い)がそれぞれ査定額を算出してくれるのですが、結構その金額にバラツキが出てくるんですよね。

同じ条件で査定してくれているのに、です。

そうなるとどこかしらの不動産会社に売却を任せようと検討していた方は

売主
売主

査定してくれた不動産会社のうち、一番高い査定額を出してくれたところにお願いしてみよう!

と考えるのが自然な流れかな~と思います。

青二才
青二才

もしこれがオークションだったらその判断で間違いないですね。

しかし・・・

はい。実はこの「一番高い査定額を出してくれた不動産会社にお任せする判断」は、かなり危険で短絡的な選択と言えます。

下手をすると最終的に希望価格を下回るところか、買い叩かれて相場価格以下で契約になってしまう恐れもあります。

仕組みを知らないとほとんどの人が上記の判断を下してしまうのも怖いところなんですよね。

そこで今回は「なぜ売却査定サイトでは相場より高めの査定額を出してくる不動産会社が多いのか」という点をテーマに定めさせて頂こうと思います。

青二才
青二才

いつも通り不動産会社側の視点から展開していきますので、是非最後まで読んでいって下さいね!

査定依頼を受け付けている不動産会社の目的を知ろう。

歩いている人に必ず目的地があるように、不動産会社の行動にも何かしらの理由があります。

大前提:媒介契約(あわよくば専任)を結びたいと考えているから

まずは相手の目的を知るところから始めましょう。

前回の記事でもそっくりそのままの副題で記載したのですが、不動産会社が査定サイトを利用する最大の目的は

「ここまでに接点が持てていない売主候補を捕まえて媒介契約を結ぶ」ことです。

当たり前の話ですが物件の売却を検討している人がどこの不動産会社とも連絡を取っていない状態であれば、そこに接点は一切生まれません。

しかしそういった方が査定依頼サイトを利用することで、不動産会社からすれば本来接点を持てなかったはずの人と繋がりが持てるようになります。

その代わりに登録している不動産会社は査定依頼1件ごとに反響課金形式で10,000円~15,000円程度の広告費を支払っていますが、それでもこの時点で既に大きな利用メリットがある訳ですよ。

さらに媒介契約を結べれば、物件が成約になる事で最低でも売主から「物件価格の3.3%+6.6万円の仲介手数料」を受け取れるようになります(片手仲介)

3,000万円の物件だと105万6,000円(税込)もの大金です。

しかも自分で買主を見つけてくればそっちからも同額の仲介手数料が貰えます(両手仲介)

↑両手仲介についてはこちらの記事でグチャグチャに噛み砕きながら説明しております。
青二才
青二才

不動産会社が媒介契約を結びたがる理由が分かりますね。

しかしそんな魅力的な媒介契約を、他の不動産会社が狙わない訳がありませんよね?

従ってここで媒介契約を勝ち取るための競争が発生します。

売却査定サイトはその典型例と言えますね。

そしてそのために「不動産会社は査定額を相場よりも高めに算出する」のです。

媒介契約を勝ち取るために「査定額を高めに出す」理由。

依頼先の不動産会社はこんな感じでデータ分析しながら査定金額を算出しているかもしれませんよ。

では本題です。

なぜ不動産会社は媒介契約を勝ち取るために「査定額を高めに出す」のでしょうか?

青二才
青二才

実はその理由、かなりシンプルなんです。

高めの査定額を出さないと売主に興味を持って貰えないから。

卵が先か、鶏が先かみたいな理論になってしまいますが、本当にこの通りなんです。

もしもアナタが10年前に3,000万円で購入した物件があり、売却査定サイトを利用したとします。

その後3社から返信がありました。

A社 査定額:2,500万円

B社 査定額:3,000万円

C社 査定額:3,500万円 

という内容だったとして、どの不動産会社に興味を持つでしょうか?

青二才
青二才

恐らくですがほとんどの人がC社に興味を持つでしょう。

慎重派の人でもA社を選ぶ事はないはずです。

この物件、実際には相場が2,500万円くらいでA社の判断が正解に近いとしても、残念ながらA社は正直ゆえにバカを見るだけです。

先ほども申し上げたように不動産会社側は売却査定査定サイトを利用するにあたって安くない広告費を支払っていますから、極力タダ働きはしたくありません。

となれば最終目的である「媒介契約の締結」に向けてわざわざ不利になるような行為をする必要がありませんから、実際の相場価格よりも高めに算出してスタートラインに立とうとします。

顧客である利用者側が「少しでも高く売りたい」「今の資産価値が高くあって欲しい」と考えている以上、そのニーズに応えようとしているだけなんですよ。

最初は相場より高めの金額で公開してもOKと考えているから。

売主
売主

でも相場より高い金額で募集を出したら買ってくれる人も少ないんだから、契約にならなくて困るのは不動産会社も一緒では?

ここも勘違いが生じやすいところですので解説させて頂きます。

確かに仰る通りで、不動産会社は物件が契約にならない限り報酬を受け取ることが出来ません。

そのため割高な価格で募集を出しても、買い手が付かなければ意味がないような気がしますよね。

しかし、実態は異なります。

不動産会社からすれば最終的に適正な価格で売れれば問題ないのです。

契約に至るまでで多少回り道になったとしても構わないからこそ、

不動産会社
不動産会社

最初は高めの金額で公開しておいて、契約になればそれはそれでラッキー。

買い手が付かなければ売主と価格交渉して適正な価格に値下げして再公開するだけだし、全く問題ないね!

くらいの感覚で最初の査定額を提示できる仕組みです。

むしろ大手の不動産会社になるとわざと上記の手法を取りつつ物件の囲い込みを図り、最終的には両手仲介まで繋げようとするような動きもあります。

↑売主の事を考えるなら両手仲介に固執して欲しくはないんですけど・・・難しい問題です。

一番高い査定額を提示してきた会社に売却を任せるデメリットは?

売れてしまえば数千万単位のお金が入ってくるからこそ、数百万円単位の損が気にならなくなってしまうバグがあるのも怖いですよね。

ここまで不動産会社が媒介契約を取るために査定額を相場以上の価格で提示してくるメカニズムについて説明してきました。

ではそんな不動産会社に売却を任せるデメリットって何でしょうか?

売れる(契約になる)までの期間が長引く。

これは比較的想像し易いかもしれませんね。

考えれば当たり前なのですが、相場価格1,000万円の物件を2,000万円で募集していたら買い手は中々付きません。

上記は極端な例え話ですが、そんなぼったくり金額でもし媒介契約期間である3ヶ月間公開し続けてしまったら、その期間が丸々無駄だった事になってしまいます。

相場通りの条件ならマッチングしていたはずの買い手を逃している可能性がある。

またこれは上記の「売れるまでの期間が長引く」の弊害です。

さっきの例題で2,000万円で募集していた物件を、相場通りの1,000万円だったら購入していた買い手がいたかもしれません。

不動産は一点モノと言いますが、買い手も一点モノです。

購入を検討しているお客様がタイミング良く条件に合致した物件とマッチングするからこそ、契約に至るのです。

青二才
青二才

これでしばらくしてから相場通りの金額まで値下げしたとして、既にこの買い手が他の物件を購入してしまっていたら売主にとって大きな機会損失ですよね。

納得のいく「物件の適正価格」が分からないまま事が進んでしまう。

自分が当事者だとしたらこれが一番イヤですね。

高めに算出された査定額のまま契約になれば理想ですが現実はそう上手くいきません。

そうなると両手仲介を狙う不動産会社は

不動産会社
不動産会社

精一杯広告しましたがこの条件では買い手が付かない可能性が高いです。

今のニーズに合わせて少し価格を下げませんか?

などとさも予定通りといったスタンスで物件価格の値下げを提案してくる事でしょう。

最終的に当初の売り出し価格からどれだけ値下げした段階で買主が見つかるかは分かりませんが、

売れないから下げるといったシンプル過ぎる手法では「物件の適正価格」が分からないまま契約まで進んでしまう事もあるのです。

物件の適正価格なんて正直正確には分からないものです。需要と供給で決まりますから。

でもその途中で「大体相場通りの金額で待っていれば買い手が付くような条件」を通り過ぎてしまっているとしたら大きな機会損失になります。

またぶっちゃけてしまうと両手狙いの不動産会社にとって、物件価格は相場を下回った方がむしろ都合が良いくらいだったりします。

そんな好条件なら直接買いたい人からの問い合わせも入り易くなりますからね。

じゃあどんな不動産会社に任せるのが良いのか?

何かをお願いする時って余裕があるように見える人に任せたくなりますよねえ。

では売却査定サイトの上手な活用方法とは何なのでしょうか?

青二才
青二才

まとめとして私から2つの対策を提示させて頂きます!

①最初から適正な価格で査定してくれている不動産会社にお願いする。

・・・いやそれが分からねえから苦労してるんだろうがよ。

そんな声が聞こえてくるようです。すみません。

ここで私がお伝えしたいのは

「具体的な根拠を持って査定額を出してくれている不動産会社にお願いする」

という事です。

不動産会社が物件の査定をする時、特に直接物件に訪問しない「机上査定」では

・周辺物件の成約事例

・当該エリアの平均坪単価、平均販売価格

・当該物件の過去の販売事例(分譲マンションだと事例が多い)

・現在の市場相場の値動き

などの客観的なデータを駆使して査定額を割り出します。

青二才
青二才

高めの査定額を出す不動産会社でも、まずはこの辺りの調査から始めているはずです。

そのうえで査定額を上乗せして提示しているイメージですね。

なので実際に売却査定サイト経由での返信が来たら、

「その査定額の根拠となる参考データ」

が添付されているかどうかに着目してみて下さい。

もしも査定額の他に添付されている資料がなければ、所望してみるのも良いでしょう。

売主
売主

⇒「査定ありがとうございます。差し支えなければ今回の査定額を算出するにあたっての裏付けとなる資料やデータも見たいのですが、追加で送信頂けないでしょうか?」

また大手不動産会社になると、返信の際に大量の参考資料を送ってきてくれる事もあります。

恐らくそれらはシステム化された何かしらのツールを利用して作成しているものと推測出来ますので、可能な限り細部まで確認するようにしましょう。

売主
売主

査定額は3,000万円なのに周辺物件の販売事例は2,500万円くらいがほとんど?

何か辻褄が合わないような気がする・・・。

このように違和感を感じる箇所があれば迷わず質問しちゃってOKです。

ここでちゃんと売主であるご自身が納得のいく説明で査定額を提示してきたうえで、

「あえて期間を定めて高めの価格でも募集を掛けてみる」

などの手法を提案してくれる不動産会社があれば信用出来ますよね。

青二才
青二才

こちらが素人である事を組んだうえで、丁寧に価格の根拠出しをしてくれる不動産会社が理想です。ただし最初に返信が来た段階では不動産会社もスピード感を意識して必死にアプローチしてきますので、面倒かもしれませんがメールかLINEで返信しつつ対応履歴を残しておいて、2回目以降の返信でその根拠を求めてみることをオススメします。

最初から相場と近い条件で募集を掛けていれば、先ほど紹介した3つのデメリットは解消出来ますね。

ちなみに大手ではなく地元の不動産会社に任せた場合、買い手を見つけてきてくれるかが不安という方もいらっしゃるかと思いますが、

ネットで検索してみてその不動産会社がそれなりのホームページを保有していたり、スーモやアットホーム等のポータルサイトのページが表示されたりしていれば全く問題ありません。

それどころか大手と違って「最終的には片手仲介でも良い」と考えている所が多いぶん、レインズやATBBといった不動産業者専用の情報ネットワークにもしっかりと物件情報を載せてくれる事が多い印象です。

結果的にそっちの方が全国の不動産会社に客付依頼し続ける事となるので、むしろ早期成約の機会が増加するようになります。

青二才
青二才

依頼した会社が囲い込みしなければ

「その会社+全国にある他の不動産会社」が

一斉に買主を探してくれるようになるイメージです。

②その査定額で募集を出して決まらなかったら・・・と念押しする。

2つ目の対策は少し強気な交渉を伴います。

※難易度が高いので、腹落ち出来ない場合は一つ目の手段を選択した方が良いかもしれません。

要は「媒介契約を取るためだけの査定額吊り上げ」を行う動機こちらから台無しにすれば良いのです。

不動産会社
不動産会社

その物件ですが、査定額は4,000万円くらいですね。

(本当は3,500万円くらいだけど媒介欲しいし少し盛っておこう)

売主
売主

では4,000万円の募集でお願いする事を検討します

ちなみにその場合媒介契約が切れる3ヶ月後までは値下げしないつもりですし、成約にならなければ貴社との媒介契約を更新せず他社と契約を結び直す事も視野に入れようと考えていますが、それでも売り出し価格は4,000万円で大丈夫でしょうか?

と、媒介契約の3ヶ月更新期間中の値下げもしない(あるいは制限する)意思を伝えてみるのです。

最初から適正な価格で提示してくれている不動産会社であれば特に問題ありませんが、割高な価格で算出している不動産会社にとっては厳しい交渉となります。

なぜならその条件では決まらない事が分かっているし、媒介契約を延長しつつ売りやすい価格まで下げていけばどこかで買い手が付くと考えているから。

しかし媒介契約を無条件では更新しない姿勢を示し、それに加えて売り出し価格からの値下げにも応じないつもりだと伝えれば、不動産会社側にとっても最初の売り出し価格の設定が非常に重要なものとなります。

青二才
青二才

言葉遣いはもう少しオブラートに包んだ方が良いですけどね(笑)

とは言え適正だと思った価格ですぐに買い手が付くと「もう少し高く出せば良かった」と感じてしまうのも人間の悲しい性。

なので最終的には適正と思われる価格に少し上乗せした条件で募集を開始するのが、一番満足度の高い結果になる可能性が高いと思いますよ。

あとがき的なやつ。

ここまで色々と書かせて頂きましたが。

売却サイト経由で複数の不動産会社から査定結果が返ってくると、個人的にはそれでもほとんどの人が名前を良く知っている大手不動産会社と媒介契約を結ぶ事になるんだろうな~と考えています。

でも別にそれ自体は良いんですよ。

大手は知名度が高いぶん自社で集客する能力も高いですし、囲い込みのリスクを加味しても安心を求めて大手に依頼してしまう気持ちは十分に理解出来ます。

しかしとは言え売却査定サイトを利用する際には、大手不動産会社が高めの査定額を提示してくれたからという理由だけで媒介契約を結ぶのはオススメ出来ません

相場は常に変化していますので、ちゃんと「売り時」を見定めて行動するようにする事が重要だからです。

青二才
青二才

査定サイト経由の問い合わせに限らず、不動産会社から言わせればいつだって

「ベストな売り時は今」ですからね。

間違った査定額に踊らされて不動産会社に売却を依頼してしまうと、長期化&値下げによって100万円単位で損するリスクがある事を覚えておきましょう。

今はそんな状況にない方であってもいざ自分が不動産の売却を検討する場面に直面した際には、ほんの一瞬だけでもこの記事の内容を思い出して頂けますと嬉しいです。

では今回はこの辺りで。

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