こんにちは。青二才と申します。
〇簡単なプロフィール
マグロの赤身が大好きなアラサーの一般男性。不動産テック関連の仕事に約10年間従事。宅建士免許保有。
今までに様々な業態の不動産会社500社以上とお付き合いさせて頂きました。
スーパー今更ながら楽天経済圏に参入した元現金派の金融初心者。
突然ですがアナタが物件を探す時、最初に思い浮かべる不動産会社ってどんなイメージでしょうか?
・・・あまりに唐突で声も出ないようですね。大変申し訳ございません。
配慮に欠けていましたね。ではこちらから質問させて頂きましょう。
最初に思い浮かべる不動産会社。

ズバリ、賃貸アパートの一室でしょうか?

それとも普通の一軒家でしょうか?

ええい!雑居ビルの一室ではどうでしょうか!?
はい。違いますよね。前置きが長くてすみません。
多分アナタがイメージしているのは「駅前」で「人通りが多い路面店」で「従業員がたくさん」いて「知名度やブランド力がある」不動産会社ではないでしょうか?
上記のようにお客さんを集めて物件を紹介する不動産会社は「客付会社」と呼ばれています。
ホームページを見ればたくさんの物件を取り扱っていますので、希望にピッタリ合う物件を紹介してくれそうな印象を持ち易いのも特徴です。
会社によっては「お客様の声」みたいなコーナーを用意して、顧客満足度の高さや安心感をアピールしているところもありますね。

多くの物件を保有している会社なら満足の行く接客をしてくれそうなので、物件探しが初めてのお客様にとっては頼りになる存在とも言えますね。
・・・しかし、ここで一点注意喚起です。
公開しているたくさんの物件情報を客付会社がどこから集めているか、アナタはちゃんと把握出来ていますか?
結論から申し上げますと客付会社が公開している物件のほとんどは「他の客付会社経由でも紹介して貰える物件」です。
その会社じゃないと紹介出来ないなんて物件は、公開している中の1割にも満たないでしょう。
また今のご時世、ネットで探せば元付会社を特定出来るケースも少なくありません。
元付会社とは?
⇒直接売主として公開している不動産会社or売主から直接売却依頼を受けた不動産会社。
それこそアパートの一室や、一軒家、雑居ビルの一室のような「お客さんが来ないような場所」でも問題なく営業出来るのが特徴です。
※ちなみに大手不動産会社は元付と客付のハイブリッドなので、両手仲介を狙う傾向にあります。
そこで今回の記事では「客付会社がどのようにして物件数を確保し、公開しているか」について、分かり易く説明していきます。
別に客付会社を悪く書こうと考えている訳ではありませんが、たくさん物件を取り扱っているからという理由だけで不動産会社を選んでしまうのは得策とは言えませんので、是非最後まで読んで頂きご自身が不動産会社を使う時に知識として活かして頂ければと思います。
原理は同じですが分かり易くするために賃貸と売買で分けて書いていきますね!
賃貸客付会社の場合

他の管理会社から最新の空室情報一覧を受け取っている
まず第一に管理会社から空室情報を受け取っている点が挙げられます。
この情報はメール・FAX・訪問で手渡しなど多岐に渡る手法で巡ってきます。
管理会社はオーナーから賃貸物件の管理全般を任せられていますので、空室が出れば新たに入居者を募集しなければなりません。
そのため有力な賃貸客付会社の力を借りたいと考えるのは自然な流れになります。
客付会社側とすれば「集客力」という強みを認知してもらえれば、自動的に多くの管理会社から最新の空室情報を受け取れるようになります。
よって大量の物件を取り扱っている客付会社には複数の管理会社からの情報提供ルートがある、という事になります。
この中から広告を転載しても良い物件を抜粋し、ポータルサイトやホームページに掲載します。
転載出来ない物件はネットにこそ出せませんが、店頭に来たお客様に紹介したり、メールに添付して直接ご案内したりといった手法で露出していきます。

賃貸物件だから一度建物・部屋の情報を入力してしまえば繰り返し使えるのも良いね。
空室情報だけ分かれば物件を入れ替えるだけで済むし。
レインズやATBBなどの不動産業者間専用サイトから最新の空室情報を収集している
次に挙げられるのが「レインズ」や「ATBB」に公開されている物件情報を検索し、転載しても良い物件を抽出して公開する手法です。
※レインズについては過去の記事でも紹介していますので、初めて聞いたという方は以下の記事も読んでみて下さい。
ATBB(アットビービー)に関してはどこかの機会で記事にさせて頂きますが、
ここではひとまず民間企業版のレインズみたいなものと認識して頂ければOKです。
どちらも不動産業者間に物件情報を掲載出来るシステムとなっており、売買・賃貸問わず
「客付をお願いします」という物件だけが掲載されています。

退去が重なって大変だ。早く空室を埋めないとオーナー満足度が下がってしまう・・・。
空室一覧のFAXに加えて早急にレインズとATBBに物件公開しよう!
こんな感じで、それらのシステムに公開されている物件は極論ですが日本全国の不動産会社が客付可能な物件として取り扱える事となります。
なので客付会社は常に「レインズ」や「ATBB」といったサイトもチェックしているという訳です。
転載してはいけない物件も多いですが、これは先述の例と同じく紹介するの自体はOKですので、接客時やメール追客で手広く紹介する事が可能です。
客付メインの会社が自社で管理している物件を直接公開している
最後にとてもややこしいケースを用意しました。
今回の記事に限った話ではないのですが、私の説明では管理会社と客付仲介会社を分けて考えるものが多くなっています。
(分かり易く説明するためにはある程度仕方ない部分があるのです、と言い訳させて頂きます💦)
しかし実際には「管理会社」「客付会社」というのは物件次第で立ち位置が変わるものなのです。
例えば店舗売上のほとんどを他社物件の客付仲介で稼いでいる不動産会社が存在していたとします。
言い方を変えればこの会社は他社が管理している物件を客付している事になりますので、それらの物件に対しての立ち位置は文句なしに「客付会社」ですよね。

しかしこの会社が少しだけ管理物件を保有しているとしたらどうでしょう?
いくら他社物件の仲介がメインの会社であっても、その物件に関してだけは立ち位置が「管理会社」になります。
つまりここで述べたいのは「客付会社であっても自社管理している物件があれば、管理会社としての側面を併せ持つ」という事です。
しかし管理会社としての側面があっても彼らには「集客力」があります。
他の仲介会社に客付をお願いしなくても、自社募集だけですぐに成約させる事が出来るならこうした物件は独占した状態で公開する事が可能になります。
よって客付仲介メインの会社が自社で管理している物件を公開している場合に限り、
「その会社からじゃないと契約出来ない」という状態になるケースがあります。

ただし管理物件ですから早急に決められないと困るのは同じです。
なので集客力がある会社でも最初から他の客付会社に情報を流すパターンも多いです。
この辺はその会社の方針次第ってところですね。
客付仲介会社がどうやって大量の物件情報を集めて公開しているか、賃貸バージョンは一旦ここまでとさせて頂きます。
売買客付会社の場合

お次は売買客付会社の場合で考えてみましょう。
基本的な理論は賃貸版とさほど変わりませんが、売買の方が金額が大きいぶんアナタの人生に大きな影響を及ぼし得ると考えられます。
今後のマイホーム探しに役立つ内容になっていますので是非最後までご覧下さいね。
レインズやATBBなどの不動産業者間専用サイトから最新の空室情報を収集している
まずはコチラから。先ほどの賃貸版でも触れた内容になっています。
しかし大きく違うのは「レインズへの掲載義務があるのは売買物件だけ」という点です。
売主保護の観点から専属専任媒介・専任媒介を結んだ不動産会社は該当物件を一定期間内にレインズへ掲載しなければならないルールがありますが、これは賃貸には適用されません。
賃貸物件を管理会社がレインズに掲載しているのは義務ではなく、あくまで客付会社に情報を伝達するための媒体として利用しているだけです。
よって売買客付会社は特にレインズを常に見張っており、最新の物件情報がアップされたらすぐに転載の許可取り&写真撮影に赴くチャンスを伺っています。

不動産業者が売主の物件についてもレインズへの掲載許可はありません。
とは言え売主業者も自社販売しかやらない会社を除けばレインズには掲載するのが主流ですので、情報の早さを抜きにすればここでほとんどの売買物件情報を収集出来ます。
「業プロ」を利用して業者売主の物件を最速で入手する
次は便利な民間サービスである「業プロ」を利用するパターンの紹介です。
おいおい急に何だよ。と思った方、ご安心下さい。知らない方が健全です。
業プロというサービスは不動産会社だけが利用できるもので、一般の方への認知度は低いからです。
ここでは細かなサービス内容を知る必要はありません。
簡単なサービス内容だけ以下にまとめさせて頂きます。
超シンプルにまとめた「業プロ」のサービス内容
〇売主会社が販売している物件を登録無料で集める。
⇒売主会社にとっては無料で有力な客付仲介会社に最新の情報を提供出来るのがメリット!
〇その物件情報を会員登録している客付仲介会社に有償で提供する。
⇒客付仲介会社にとっては「各ポータルサイトへの入力作業」「物件撮影」「間取図などの作成」「定期的な物件確認」「図面の作成」などの手間を削減しつつ、常に最新の業者売主物件の情報をほぼ自動で集める事が出来るのがメリット!
要するに売買客付会社はこのサービスにお金を払う事で、業務負荷を大幅に軽減しつつ最速で客付OKの物件情報を公開する事が出来るようになるのです。

しかも業者売主の物件が対象ですから、客付に成功すれば「両手仲介」になるのもデカいですね。ちなみにそのほとんどは新築戸建(建売物件)です。
スーモやホームズなどのポータルサイトに掲載されている新築戸建が、同じ物件なのに複数の不動産会社から公開されているな・・・。
と感じたら、それは業プロのサービスを利用している客付会社が一斉に公開しているからかもしれません。
補足ですが、分かる人が見ればポータルサイトへの掲載状況を観察するだけで業プロを利用している会社かどうか見極める事も出来ます。
まあ便利なサービスを使う対価としてきちんとお金を払っている訳ですから問題はないんですけどね。
しかし業プロ経由で公開されている物件は基本的にどこの不動産会社でも紹介出来る物件ですので、問い合わせを入れる前に掲載している会社情報を比較した方が良いでしょう。
客付メインの会社が自社売主or専任媒介の物件を直接公開している
これまた賃貸での事例と同じです。
客付業務がメインの会社でも物件を買い取る機会があれば「売主」になりますし、
売主から売却依頼を受ければ「専任媒介」を結ぶ事もあります。
普段は他社の物件を客付するのが主業態でも、物件によっては元付会社としての側面を持つ事があるという理屈ですね。

明らかに物件情報を大量に掲載しているからと言って取引態様を確認しないのはナンセンス!
特に中古物件を掲載していたら売主or専任媒介の可能性がありますのでチェックするクセを付けましょう。
ただし賃貸の時とは異なり、売買の客付仲介会社が売主or専任媒介の物件を保有した場合、
可能な限り「両手仲介」を狙った販売活動を行う可能性が高いです。
集客力に自信があるので、みすみす他の仲介会社に客付されてしまうと勿体ないですからね。
※専任媒介の場合はレインズへの掲載義務がありますので、囲い込みでもしない限り情報自体は共有されます。
両手仲介を狙っている不動産会社に対しては価格・仲介手数料などを交渉出来るチャンスも生まれますから、注意深く取引態様まで確認しておきましょう。
今回のまとめ:客付会社のカラクリを知ったうえで取るべきアクション

賃貸:仲介会社に行けばほとんど全ての物件を紹介して貰えます。
賃貸については大量の物件をポータルサイトに掲載している会社を適当に選んで1社行ってみると良いです。
会社によってサイトに掲載出来ない物件はありますが、直接接客して貰えれば市場に公開されているほぼ全ての物件情報からアナタの条件に合う物件を紹介してくれることでしょう。
ただし営業マンは自身の成績に関わりますので、出来るだけ契約単価の高い物件を優先的に選定してくることもあります。
その辺りの判断が難しいようであればもう1社くらいは他の仲介会社をセカンドオピニオン的な感覚で利用してみるのもアリだと思います。

ちなみに私のオススメは物件の募集を自社で行っている管理会社に行く事です。
仲介会社と違って他社の物件を積極的に紹介してくれない事は多いですが・・・

オーナーと直接繋がっている物件なので交渉し易いですし、退去してすぐの物件があれば実質未公開物件と言える物件を先取りする事も可能です。
売買:重複している物件が気に入ったなら掲載不動産会社まで調べて判断しましょう。
売買で複数の不動産会社が掲載している物件。
特に新築戸建(建売)で気に入った物件があるなら、当たり前ですがどこの会社で買ってもモノは変わりません。

だったら同じ物件を公開している不動産会社自体の情報を確認しましょう。
どこで買ってもモノが同じならサービスが良いところを選ぶべきです。
「仲介手数料が無料です」
「住宅ローン金利関連に自信があります」
「専属FPが購入後のライフプランニングを無料で実施します」
「強引な営業は一切しません」
「○○万円相当の~~をキャッシュバックします」
とか、同じ物件を公開している事は客付仲介会社の方も自覚していますので、様々な手法で+αの差別化を図ろうと試みているのです。
どうせどこかの仲介会社を通して買うのであればそういった付加価値の部分を事前に自分で調べてから問い合わせを入れるようにしましょう。
そうすれば仮に問い合わせを入れた物件がイマイチだったとしても、同じサービスが適用される状態で他の物件を紹介して貰えますから以降も安心です。
勿論接客対応が気に入らなかったりしたら別の話です。
担当を変えて貰うか、他の仲介会社に行きましょう。

なお売主が直接公開している物件を見つけたら仲介手数料が掛からないので直接問い合わせを入れるのがお得です。
ただし仲介会社に紹介された物件で、後で何らかの形で売主を知った場合に関しては諦めましょう。売主がお客様向けに公開していない物件だとすれば不自然過ぎて楽勝でバレますし、売主会社からも断られますから。
終わりに
さてここまでの内容、いかがだったでしょうか。
客付仲介会社は大量の物件を集めるために日々努力を重ねています。
しかし逆に言えば、日々努力をしたりお金を掛けたりすればどんな不動産会社でも大量の物件情報を集めて公開する事が出来るのも事実です。
その辺りのカラクリを把握出来るようになると「ただ物件情報が多いから」といった理由で不動産会社を選ぶ非効率性が分かってきますよ。
では今回はこの辺りで。
コメント