【違法?】賃貸の仲介手数料は0.5ヶ月分までと法律で決まっているはずでは!?

賃貸

こんにちは。青二才と申します。

〇簡単なプロフィール

マグロの赤身が大好きなアラサーの一般男性。不動産テック関連の仕事に約10年間従事。宅建士免許保有。

今までに様々な業態の不動産会社500社以上とお付き合いさせて頂きました。

コスパが悪いと分かっているのに便利過ぎてウォーターサーバーを解約出来ないのが最近の悩み。

突然ですが私、最近マイブームが2つほどありまして。

1つは以前からお伝えしております「Yahoo!知恵袋」への回答活動。

おかげさまで初めて約3ヶ月で計50件以上のベストアンサーを頂くまでに至りました。

もう1つはYouTubeでの動画鑑賞。

不動産分野以外は素人同然の私ですので、ジャンル外の知識(金融関連など)はほぼYouTubeからインプットしていると言っても過言ではないです。

さて。プライベートタイムにおいて上記2つのブームに勤しむ中で、

不動産賃貸業界の暗黙の常識に一石を投じる考え方が世間に広まっているなと感じました。

青二才
青二才

ずばり「賃貸の仲介手数料は借主が承諾しない限り0.5ヶ月分(税抜)までしか取れないはず!」

といった意見についてです。

Yahoo!知恵袋でもYouTubeのコメント欄でも良く目にする印象があります。

また有名な配信者が動画内でその内容に触れているケースもありました。

私自身も過去にこの辺りの内容に触れた記事を執筆していますが、その際は別のテーマが主軸だったのでやんわりと流してしまっていました。

その時の内容を振り返ると、

『現実的には借主から1ヶ月分の仲介手数料を丸々受け取り、オーナーから「仲介手数料としては」1円も受け取らないことがほとんどです。』

と記載したうえで

『ここに関してはもう文化や慣習としてそうなっていると理解した方が早いかもしれません。』

と説明を放棄しちゃってました。いやはやすみません。

しかし本当にその通りで実際には仲介手数料を1ヶ月分、借主から取る不動産会社がほとんどです。

そして残念ながらこの行為は違法には当たりません。

何とも釈然としませんよね。分かります。

それでも制度や慣習を根底から覆すには個人の力では限界がありますし、相当に時間も掛かります。

現状に文句を言うよりも、個人的には現状を知って賢く立ち回った方がコスパが良いと思う訳です。

青二才
青二才

そこで今回は

「法律で決まっているはずの仲介手数料ルールがなぜ現実には適用されていないのか?」「なぜ違法扱いにならないのか?」

といった内容について説明していきます!

この記事を最後まで読んで頂ければ、心から納得する事は出来ないかもしれませんが、

「ぐぬぬ。確かに違法ではないな。嫌だけど住みたい部屋に住めなくなる方が損だからここは引いておこう。代わりに他で交渉出来るところを探すか」

てな具合に柔軟な対応が出来るようになります。

またこういった背景を理解していれば、

「仲介手数料の値引き交渉を行っても良いタイミング」を逃さないようにもなります。

現実に不動産会社の担当者から本音を聞いた経験を基に記事を書いていますので、ある程度は信頼して頂いても大丈夫だと思いますよ。

では始めて行きましょう!

宅建業法(ルール)上での表記は?

法律を全部読むのはしんどいですが、要点だけは抑えておきましょうね。

宅建業法という不動産業界でのルールがありまして。

まずはそこに記載されている賃貸の仲介手数料についての文言を見てみましょう。

第四 貸借の媒介に関する報酬の額

宅地建物取引業者が宅地又は建物の貸借の媒介に関して依頼者の双方から受けることのできる報酬の額の合計額は、当該宅地又は建物の借賃の一月分の1.1倍に相当する金額以内とする。この場合において、居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、当該媒介の依頼を受けるに当たって当該依頼者の承諾を得ている場合を除き借賃の一月分の0.55倍に相当する金額以内とする。

出典:宅地建物取引業法第46条及び国土交通省の報酬に関する告示

これが賃貸の仲介手数料に関するルールが記載されている条文です。

分かり易く箇条書きにすると

・不動産会社が賃貸仲介で受け取れる仲介手数料は合計で家賃の1.1ヶ月分まで。それ以上は違法。

仲介手数料は借主と貸主から、それぞれ家賃の0.55ヶ月分まで受け取る事が出来ます。

・ただしどちらか一方の承諾を得ていればその限りではありません。

とまとめられます。

どうでしょうか?わざわざ引用文を赤字にしている箇所が争点になりそうですねえ。

借主が承諾さえしていれば、0.55ヶ月分を超える金額を受領してもOKと捉えられますし。

では次に行きましょうか。

お客さん「1ヶ月分払うのを承諾なんてしたつもりはない!」

右人のシャツやべえ。

となればお客さんも黙っていません。

10万円の家賃だとしたら、

1.1ヶ月分で11万円。

0.55ヶ月分なら5.5万円。

承諾?しただけで55,000円も多くお金を払わないといけなくなるなんておかしいですよね?

お客さん
お客さん

1円だって損したくないんだから、そんなの承諾するはずがないじゃない!

このお客さん(女性)のように考えるのが至極当たり前の流れです。

青二才
青二才

不満を抱えているところに

「借主が払う仲介手数料の上限額は0.55ヶ月分までです。それ以上要求されること自体がおかしな事なんですよ」

なんて有名インフルエンサー達に言われたら、そりゃ信じ込んでしまいますよね。

と、ここまでは一方的にお客さん(借主)側の視点で進めてきましたので、お次は不動産会社目線でこの問題をどう捉えているのか見てみましょう。

久しぶりにブログのタイトル回収が出来そうですよ。

不動産会社・不動産業界側の解釈は?

交渉するためには相手を知るところから。彼らの考えを理解しましょう。

まずおさらいです。

業界の慣習として、賃貸の仲介手数料は借主から1ヶ月分取るのが常識となっています。

宅建業法を見ても借主の承諾があれば別の話ではありましたが、本来であれば基本は借主から0.55ヶ月分、貸主からも0.55ヶ月分取るのが普通みたいな書き方だったはず。

ではなぜ、上記のような慣習が根付いているのでしょうか?

青二才
青二才

実はこの「承諾」と言う概念の解釈が、お客さんと不動産会社でズレが生じてるのです。

どういう事か説明させて頂きます。

貸主は仲介手数料を払わない前提で物件を募集している

貸主(オーナー)が所有している物件に空室が発生したら、一般的には管理会社が空室の募集を行います。

この時、既に募集する物件の賃貸条件は決まっています。

その際にほとんどのケースで以下の流れが適用されているのです。

オーナー
オーナー

ワシは入居者が決まっても仲介手数料を払わないからの。

1ヶ月分払ってくれる人に借りてもらえればOKじゃ。

管理会社
管理会社

分かっていますよ。仲介会社にも客付依頼を掛けますが、今まで通り仲介手数料は貸主から貰うように広告に書いておきますから。

このようにオーナーが初めから仲介手数料を払わない条件で募集を出していると、

その物件を借りたい入居者が「オーナーにも0.55ヶ月分払わせてよ!」と正論を振りかざしても聞き入れてもらえません。

不動産会社からすればその交渉をオーナーに持って行ったところで

オーナー
オーナー

その人うるさいからワシの物件に入居して欲しくない!却下!

と断られてしまえば、契約が成立しなくなり報酬も得られなくなってしまいます。

となれば掛けてきた労力も無駄になってしまいますので、不動産会社は何とか宥める方向に持って行こうとするでしょう。(あるいは見切りを付けてくる事すらあります)

結果的に、仲介手数料を1.1ヶ月分払う事に「承諾」したお客さんだけがその物件に入居出来る事となるのです。

青二才
青二才

当然「承諾」しない権利はお客さんにもあります。しかしその場合はその物件を借りれなくなる可能性が高まるという、シンプルな仕組みです。

不動産会社(仲介会社)は1.1ヶ月分貰いたい

もう一つ、この慣習を強固にしているのは

「不動産会社家賃の0.55ヶ月分の報酬では満足出来ないから」という理由です。

先ほどの例では貸主が仲介手数料を払わないので貸主から1.1ヶ月分貰うと説明しましたが、

極端な話、不動産会社が仲介手数料を0円だと言えばそれも合法となります。

仲介手数料の最大額は合わせて1.1ヶ月分までと決まっていますが、最小額は決まっていません。

仲介会社
仲介会社

どうも管理会社から物件の紹介をお願いされた仲介会社です。

今回は貸主から1円も貰えないけど、借主からは0.55ヶ月分で良いですよ。

↑こういう会社が存在していれば、少なくともお客さんはお得になる訳ですよ。

でもそうは行きません。不動産会社は業態問わず営利企業ですから。

仲介会社
仲介会社

貰えるお金はちゃんと貰わないと!

最大額が1.1ヶ月分ならその分を借主から全額貰うとも!!

こう考えてしまうのですよ。

しかしまあ、オーナーに仲介手数料を半分負担してもらうよりはまだ、仲介会社に交渉して仲介手数料を値引きして貰う方がハードル低いってのも事実なんですがね。

↓最初から仲介手数料を半分に設定している仲介会社もありますし。

ノルマ達成のために仲介手数料を値引く余裕がないケースもある

さらに今度は仲介会社の営業マンの立場で考えてみましょう。

会社によって差はあれど、基本的に彼らには営業ノルマが課せられています。

青二才
青二才

このご時世だと「目標」という名称に変わっている事も多いですが、同じです。

まだ正直に「ノルマ」と言われている方が清々しいとすら思いますがね。

さてこの営業ノルマ。多くは昨年同月の数値を超える数値に設定されていたりします。

となれば嫌な話ですが、顧客の単価を上げつつ件数もこなさないといけない訳です。

特に顧客の単価ダウンは死活問題になりかねません。

1人から貰える仲介手数料が半分になってしまったら、単純計算でその倍の人数を捌く必要が出てくるのですから。

また仮に仲介手数料を半分にしたとしても、営業マンの業務負荷は変わりません。

仲介手数料を満額貰おうが半額にしようが、契約書の作成やその他雑務の仕事量は変わりませんから、そうなれば契約件数でカバーする事も難しくなってしまいます。

青二才
青二才

では営業マンはどうするでしょうか。

仲介手数料を値引いてくるような顧客は切り捨てて、文句を言わない顧客に全力を注いだ方が、コスパが良いのが分かりますよね。

さらに言うと仲介手数料の値引きは店長クラス以上の方に承認を取らないといけない、といったような諸事象がある仲介会社も存在します。

となれば営業マンからすると仲介手数料の値引きを行うメリットが全くありませんよね。

さあここまでのお話はいかがだったでしょう。

不動産会社・不動産業界の視点で考えると、

「仲介手数料は借主から1.1ヶ月分取る」

という慣習がとてつもなく強固に植え付けられている事が分かると思います。

少し長くなってしまったので不動産会社側の解釈について以下にまとめさせて頂きます。

【賃貸の仲介手数料負担に対する不動産会社側の解釈】

①貸主は仲介手数料を払わない前提で物件の募集を掛けている。

②貸主から貰えない以上、借主から1.1ヶ月分の仲介手数料を受け取る他にない。

③借主が1.1ヶ月分の支払いに「承諾」しないなら選択肢は以下の二つ。

1.契約を白紙にする 2.自社の利益を削り仲介手数料を0.55ヶ月分まで割り引く

仲介手数料の値引き交渉を行うべきタイミングを逃さないで!

タイミングこそが最重要!

ここまで、嫌だけど慣習になってしまっている以上、仲介手数料は1.1ヶ月分支払った方が良いですよ的な内容を書き綴って参りました。

しかし一点、勘違いして欲しくない事があります。

青二才
青二才

仲介手数料の値引き交渉をするなとは言っていません!

はい。ここポイントです。

他の記事にも書いていますが、仲介手数料の値引き交渉自体はしてもOKなんです。

私も過去に、とある不動産会社さんで自分が入居したい物件の契約前に仲介手数料の交渉を行い、人気物件でしたが30%の割引をして頂いた事があります。

いやいや、不動産業界に繋がりがあるから融通利かせて貰ったんでしょ?

と思う方がいらっしゃるかもしれませんがそれは大きな誤解です。

その時の不動産会社さんとはビジネスで繋がりはなかったので、ほぼ初見の営業マンに対しての交渉でした。

しかもその会社の管理物件で、退去が出たばかりだったためまだ募集を出していない非公開物件。

青二才
青二才

何故交渉が上手くいったのか?

それは交渉するべきタイミングを知っていたからに他なりません。

だいぶ文字数が増えてきましたね。疲れたのですぐに答えを発表します。

交渉すべきタイミングは

物件の申し込みを行う前

です。

イメージはこんな感じです。

仲介会社
仲介会社

Aマンション、気に入ってくれましたか?

人気物件なんで申込しないと他の人にすぐ取られちゃいますよ。

青二才
青二才

良い物件でしたが、他にも迷っている物件がありまして。。。

困りました。何か決め手があれば申し込むのですが。。。

もしも仲介手数料をいくらか値引いて頂けるなら今すぐ申し込みますが、厳しいでしょうか?

仲介会社
仲介会社

・・・。少々お待ち下さいね。ちょっと確認してみます。

どうでしょうか。ポイントは仲介会社の営業マンにもメリットがある状態をキープしたまま交渉を開始する事です。

営業マンからすればまだ申し込みをして貰えていないこの段階では、契約を確定させたい心理が働きます。

〇契約が確定していない段階なのでタダ働きになってしまうリスクがある

⇒値引きすれば今すぐ契約が確定して売上が確定するかもしれない!

と受け止めて貰えれば、営業マンにとっても損な話ではありませんからね。

仲介会社
仲介会社

このまま顧客が他社に流れるよりは、多少利益を削ってでも契約まで進めた方が得かも?

と感じさせるようなタイミングでの交渉なので、相手もそこまで嫌がらないはずです。

またこの結果どちらに転んでも借主側に損はありません。

仮に値引き交渉に失敗したとしても、次の主導権は借主が握れるからです。

無かった話にしても良いですし、そのまま納得して1.1ヶ月分払っても良いです。

個人的にはこれが「後で後悔しない納得の行く選択」に繋がると考えています。

※不動産会社に嫌がられるタイミングでの値引き交渉はNG

「営業マンもアナタと同じ人間です」これを忘れずに。

逆に、絶対に交渉してはいけないタイミングというのも存在します。

そして恐ろしいことに、このタイミングで交渉してしまう人は結構な数いらっしゃいます。

青二才
青二才

実際に不動産会社の決裁者からも聞いた、確かな筋のお話です。

絶対ダメなタイミング。それは

申込審査完了契約までの間

です。

こちらも会話のイメージを用意させて頂きます。

仲介会社
仲介会社

お申込み頂いたAマンションの件、無事に審査を通過しました!

契約までに必要な点をいくつか進めさせて頂きますね!

青二才
青二才

色々と手続きありがとうございました!

ところで見積書に書かれている仲介手数料なんですけど、本来は借主から受け取れるのって承諾しない限り0.55ヶ月分までですよね?

私は承諾するつもりがないので、貸主にその分負担して頂きたいのですが。

仲介会社
仲介会社

・・・・・・・。

仲介会社
仲介会社

(いやもう普通に契約する流れだったから上司にもそう伝えちゃってるっての。1.1ヶ月分貰う予定になっているから今さら半分になんて出来ないよ。。。貸主だってこの条件で募集出してるんだから払ってくれる訳ないし。。。なんとかごまかさないと!)

仲介会社
仲介会社

審査も終了していますし、見積書も渡していますよね?

この仲介手数料の値下げには応じられません。

と、まあこんな感じで断られるか、変な言い訳をされて逃げられるかのどちらかになります。

稀に営業マンの状況によっては要望が通る事もあるでしょうが、成功率は極めて低いでしょう。

ここで問題なのは申込審査が終了した段階で、営業マンにとっては実質契約に至ったような感覚になっている事です。

ほぼ100%契約になるであろうお客さんから契約条件で交渉されてしまったとすると、何だか損した気分になるのです。

〇10万円貰える!と思っていたら直前でケチ付けられて5万円になってしまった。

⇒体感としては-5万円の感覚。これは損だから何としても避けなければ!

っていうのが近いかもしれませんね。

青二才
青二才

仲介手数料の交渉をするなら不動産会社&不動産会社に勤めている営業マンの心理を掴み、

仕掛けるべきタイミングを見誤らないよう心掛けましょう!

今回のまとめ

シンプルに今回の記事でお伝えしたかった事をまとめます。

【今回の記事で伝えたかったこと】

〇現状、賃貸では仲介手数料を1.1ヶ月分払うのが普通と捉えておいた方が良い。

〇なぜ不動産業界の慣習が今も残っているかの理由は頭に入れておこう。

初めから「仲介手数料は0.55ヶ月分までしか払わない!」というスタンスでいると損。しかし仲介手数料の値引きを交渉する事自体はオールオッケー。

〇交渉する際はタイミングに注意。基本的には申込より前に行うべき。営業マンの心理も知っておくとタイミングを間違えなくなるのでちゃんと理解しよう。

以上です。

巷では様々な「あるべき論」が蔓延っています。

しかし大事なのは

「今、アナタがお部屋を借りるなら現存のルールを嘆くよりもそのルールの中で上手く立ち回った方がお得

という事実です。

今後不動産業界の変革が進み、借主から賃貸の仲介手数料を0.55ヶ月分までしか貰わない時代が来るかもしれません。

でもそんなのは何年も、何十年も先の話なのです。

青二才
青二才

不満や文句を心の中で思うこと自体は否定しません。

それでもすぐには変わらない以上、現行ルールの背景を正しく理解して上手にサービスを利用してきましょうね。

もしも今回の記事を読んで納得が行かない方がいらっしゃいましたら、是非コメント欄までお越し下さい!

では今回はこの辺りで。

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