【不動産売却】物件情報の「囲い込み」が売主に与える悪影響とその対策について。

売却(家を売る)

お世話になっております。青二才と申す者です。

〇簡単なプロフィール

マグロの赤身が大好きなアラサーの一般男性。不動産テック関連の仕事に約10年間従事。宅建士免許保有。

今までに様々な業態の不動産会社500社以上とお付き合いさせて頂きました。

最近の悩みは丁度良いサイズのボクサーパンツがこの世に存在しないこと。

早いもので今年も折り返し地点を過ぎてしまいましたね。

きっとあっという間に「気付いたら年末」という状態になっている事でしょう。

出来る限りそうならないように、毎日を色濃く過ごしていきたいものです。

さて。

青二才
青二才

前回の記事では不動産業界の評判を落としているワード「おとり広告」について解説しました。

青二才
青二才

今回は知る人ぞ知る‘不動産業界の闇’「物件の囲い込み」について語っていきます。

囲い込みという言葉にピンと来ない方がいらっしゃいましたらご安心下さい。

そもそもの用語の意味から説明させて頂きますのでね。

是非最後まで読んで頂き「家を売るとき」だけに留まらず「家を買うとき」にまで、

双方のケースで活きる知識を身に付けていってくれたら本望でございます。

「物件の囲い込み」について

「囲い込み」とはどんな行為なのか?

まず大前提、不動産業界における「囲い込み」という行為がどんなものなのかを抑えておきましょう。

☆物件の囲い込み☆

物件を売りたい人(=売主)と(専属)専任媒介契約を結んだ不動産会社が、

「両手仲介」を成立させるため意図的に物件情報を独り占めする行為のこと。

売主と直接繋がっている不動産会社のことを元付会社と呼びます。

反対に買主と直接繋がっている会社のことは客付会社と呼びます。

両手仲介に関しては以下の記事に詳細までまとめてありますので参考程度に。

リンク先の目次から「両手仲介」の箇所を探してくださいね!
青二才
青二才

要するに

(専属)専任媒介契約を結んでいる元付会社が直接買主を見つけてきて契約が成立したとすると。

青二才
青二才

元付会社=客付会社でもあるという状態になり、

「物件価格×3.3%+6.6万円(税込)」

の仲介手数料を売主・買主両方から受け取れるようになるわけですよ。

他の不動産会社に買主を見つけて来られると元付会社は売主からしか仲介手数料を受け取れませんからね。

その場合は「片手仲介」と言って、買主は客付会社に仲介手数料を支払う事となります。

以上のことから、基本的に全ての元付会社が「両手仲介」を目指して日々の営業活動に勤しんでいる事が分かります。

この両手仲介を自然競争の中で目指していくなら何の問題もないのですが・・・。

青二才
青二才

「囲い込み」の問題点は元付会社が他の不動産会社に客付させないようにしている点にあります。次の項でその問題点についても触れていきましょう。

「囲い込み」が引き起こす売主への悪影響。

①購入検討者に充分な情報が行き届かず、売れ残るリスクが高まる。

通常であれば専任媒介契約を結んだ不動産会社は「一般消費者向けサイトへの物件公開」に加えて

「不動産業者間ネットワーク(レインズなど)への公開」を並行して行うことで販売窓口を増やし、

より多くの買主候補を見つけられるよう努力するのが基本です。

しかし専任媒介を結んだ不動産会社が「囲い込み」をしてしまうと、

その物件の販売窓口はその1社のみになってしまいます。

青二才
青二才

窓口が限定されてしまえば当然市場に充分な情報が行き届かなくなります。

売主からすれば「本来なら買主になってくれたかもしれない人」を

知らず知らずのうちに取り逃しているかもしれないのです!

②元付会社からの「○○○万円下げれば買うって人いますけど…?」に注意。

不動産は「そこの土地なら常に●●●●万円だよ!」などと価格が決まっていないので、

想定していたよりもより高く売れるか・安く売れるかに関しては時の運も絡んできます。

しかし専任媒介契約を結んでいてかつ囲い込みをしている会社が

サブタイトルのような提案をしてきた時には警戒レベルを引き上げる必要があるかもしれません。

売主
売主

3,000万円で土地を売りたいです。売却活動宜しくね。

元付会社A社
元付会社A社

了解です。では3,000万円で募集出しますね。

例えばこんな状態で売主と元付会社A(以下A社)が専任媒介契約を結んだとしましょう。

A社の理想は

A社
A社

売主さんの希望価格で買いたい人を直接見つけてくれば

3,000万円の物件の仲介手数料=105万6,000円を

売主&買主からそれぞれ貰える!

です。合計211万2,000円もの仲介手数料が一度の売却で手に入るのですからホクホクですよね。

では突然ですが問題です。次の2択のうち、売却活動を行っているA社が取る行動はどちらでしょうか?

〇時間が掛かってでも3,000万円で購入してくれるお客様が現れるのを待つ。

●「2,700万円でも良いので購入したい」と言ってくるお客様がいたら売主に全力で交渉する。

・・・こちら、少し意外な回答だと思われる方もいるかと推察します。

A社
A社

答えは

●「2,700万円でも良いので購入したい」と言ってくるお客様がいたら売主に全力で交渉する。

です。

売主の希望価格より下がった金額になったとしても「両手仲介」出来るかどうかが最優先テーマですから。

確かに3,000万円の仲介手数料は両手で「211万2,000円」なのに対して

2,700万円に価格が下がると仲介手数料は両手で「191万4,000円」と、

物件価格が下がればA社が貰える仲介手数料も下がってしまいます。

しかし長く物件が売れない状況が続くと

売主
売主

うー--ん。A社じゃなくてB社に売却をお願いした方が早く決めてくれるかもな。

といったように売主から専任媒介契約を取り上げられるリスクが発生してしまうのです

こうなればA社は「元付会社」としての立場も失いますから、両手仲介の可能性が消えるだけでなく買主を見つけて来なければ「片手仲介」にも携わる事が出来なくなってしまいます。

そうなれば当然ながら仲介手数料は0円。それならどうするでしょうか?

A社
A社

だったら多少価格を下げてでも専任結んでいるうちに契約させた方が得ですよね!

値下げの説得は大変だけど上手く売主に伝えて何とか許可を取るぞ!

と、元付会社目線で考えたらこうなるのが自然な流れですよね。

物件価格を下げれば買いたい人も増えますから、更に両手仲介の可能性が上がりますし。

なので売主は元付会社からの「○○○万円下げれば買うって人いますけど…?」には警戒しておく必要があります。

本来なら時間を掛ければ希望価格で売れるはずの物件が、元付会社の都合で値下げすることになってしまうかもしれない訳ですから。

ちゃんと真っ当に売却活動を行っているうえでの交渉なら仕方ないんですけどね。囲い込みをしていてこれだともう最悪です。

レインズへの掲載義務があるんだから「囲い込み」なんて出来ないはずでは?

さて。もしもここまでの内容を読んで

「専任媒介以上の契約を結んだ物件はレインズへの掲載義務があるんだから、囲い込みとか出来ないんじゃないの?」

と思う方がいましたら、とても聡明かつ勉強熱心だと言えます。

☆専任媒介を結んだ不動産会社が売主のために行わなくてはならない義務

1.契約を結んだ翌日から7日以内にレインズへ登録し、登録証明書を売主に渡す

2.最低でも2週間に1回は物件の最新状況をお伝えする

なぜレインズへの登録が義務化されているのか?については

「他の不動産会社に手広く公開しておくことで販売の窓口を増やし、より早くその物件の買主候補を見つけるため」

に他なりません。要するに情報の囲い込みを防ぐための仕組みは既に存在しているということです。

良かった。囲い込みが出来ないようになっているならそれによって困る売主はいないんだね。

とは残念ながらなりません。ちゃんと抜け穴があるからこそ私がこんな記事を書いてるのです。

青二才
青二才

さあここからが本番です。

一体不動産会社はどのようにして専任物件を囲い込んでいるのでしょうか!?

他社からの問い合わせ➡「その物件申し込みが入っていて~」で逃げる

本当のことなんて言ってやらないもんね!

はい。これに尽きます。

元付会社は両手仲介を成立させたい。

そのためには他の客付会社に買主を見つけられては困る。

しかし売主保護のためにレインズには掲載しないと宅建業法違反。

これは大問題だからレインズにはちゃんと情報を載せないといけない。

レインズに情報を載せたら他の不動産会社から内見希望・申込希望の連絡が来てしまう。

じゃあどうするか?

元付会社
元付会社

せや!客付会社からの問い合わせが入っても「もう申込が入っている」と伝えれば全て解決じゃん!

そうです。申込が入っていると伝えればその客付会社はどうする事も出来ません。

強いて言うなら「じゃあ2番手として申込したい」と粘る事は出来ますが、

客付会社にとっても目の前にいるお客さんから契約が取れなければ意味がありませんから、

「じゃあ他の物件を紹介した方が良いな」と考えるのが自然な流れです。

しかもこれ、別に嘘を付いたとしても問題ないんですよ。正確には噓かどうかの判別が出来ないのです。

「申込が入っている」なんてどうとでも言い訳出来ますからね。ホント、良く出来た仕組みですよ。

青二才
青二才

もちろん全ての不動産会社が囲い込みをしている訳ではありませんが、傾向としては知名度が高くて営業を多く雇っている大手企業が「囲い込み」をしている可能性が高いです。

なぜ大手企業が囲い込みをしがちなのか?については以下の記事でまとめさせて頂きますね。

ではこの項でのポイントを短くまとめておきましょう。

Q.レインズに掲載義務があるのにどうして囲い込みが出来るの?

➡それっぽい理由を付けて客付会社からの問い合わせに対応しなければ良い。

個人的には「囲い込み」をする不動産会社なんて無くなれば良いのにと思っています。

ただまあ不動産会社も民間の営利企業ですから難しい問題なんですよね・・・。

囲い込みをしている不動産会社の見分け方&対策について

見分け方は?

最後に「囲い込みをしている不動産会社を見分けるにはどうすれば良いか」についても触れていきましょう。

結論から申し上げます。

青二才
青二才

売主目線で囲い込みをしているかどうかを見抜く手段はありません。

すみません。大変申し訳ないですが、ないんです。

囲い込みをしているかどうかは「ちゃんとレインズへの掲載をしているかどうか」だけでは判断出来ませんから、売主の目が届かない範囲になってしまっているのです。

他の不動産会社からの問い合わせにちゃんと対応しているかなんて、分かりっこないのですよ。

じゃあ対策は?

見分けることは出来ませんが対策はあります。

というのも囲い込みされたとしても極論、売主の希望価格で早く売れるならOKですよね?

なぜ囲い込みがダメなのか希望価格で売れないリスク、売れ残るリスクがあるから

なので、そうならないように立ち振る舞う事自体が本質的な対策になるのです。

☆囲い込み対策Ⅰ☆

【希望価格で売れないリスクに対して】

〇近況報告を受ける際に「なぜ今の金額で買い手が付かないのか」が分かる資料を用意してもらう。

➡「周辺物件の過去の販売履歴」「今ライバルになっている物件の有無」「売りたい物件の現在の評価額」など。希望価格で売れない理由がどこにあるのかを見定めるために必要な情報です。

※データは改ざんされるかもしれないので極力第三者が作成した資料を希望しましょう。

〇元付の不動産会社に任せっぱなしにせず、売主自身もポータルサイトを見るなりして勉強する。

➡公開されている情報に入れて欲しいアピールポイントがあれば追加の依頼をする、近隣で公開されている他の物件を見て情報収集する等。任せすぎると都合よく扱われてしまいますから、自己防衛のためにも意欲を持って学ぶ姿勢を見せておきましょう。

☆囲い込み対策Ⅱ☆

【売れ残るリスクに対して】

〇専任媒介期間を延長しない選択肢を持つ。

➡専任媒介契約は3ヶ月で切れますが、そのままズルズルと更新してしまうケースも多いです。

もし囲い込みをされていた場合長期間売れ残る可能性が高くなってしまうので、延長せず他の不動産会社と専任媒介契約を結び直すことで売れ残りリスクを軽減するのも良いでしょう。

少し長くなってしまいましたが、

囲い込みによって売主が被るダメージを軽減する事こそが、間接的に囲い込み対策へと繋がる

という内容が伝わりましたでしょうか?

まとめ:囲い込みから身を守れるのは自分だけです

いかがだったでしょうか。

今回の記事では

不動産売却における「囲い込み」とは何か。

なぜ「囲い込み」という現象が起きてしまうのか。

「囲い込み」されているのを見分ける方法はあるのか。

「囲い込み」への対策は何かないのか。

といった内容に対してまとめさせて頂きました。

青二才
青二才

自分たちの利益を最優先に考えている不動産会社がやりがちな手法なのでね。

売主が損するかもしれないと思えば普通やらないはずなのですが。

青二才
青二才

ですが現にそういった手法を取る不動産会社が存在していて、かつその真相を見抜けない事が分かっているのであれば、売主が自ら不動産会社の考え方を理解して対策していくしかないのも事実です。

特に不動産売却というのは人生の大きなイベントの1つですからね。

ちゃんと自身で「譲れないポイント」を用意して、その希望を実現に近付けてくれる不動産会社を見つけましょう。

そもそも数で言えば囲い込みなんてせずに片手仲介でも売主のために活動してくれる不動産会社の方が多いですから。

最後になりますが、不動産会社は「疑い過ぎもダメですが信じすぎもダメ」ですよ!

客観的に不動産会社を評価出来るようになると賢い不動産取引が出来るようになりますので、今後も一緒に学んでいきましょう!

ではこの辺りで。

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