【おとり広告】既に無くなっている物件がネットに公開されているのはなぜ?わざと?

豆知識
青二才
青二才

見に来て頂きありがとうございます。青二才と申します。

〇簡単なプロフィール

マグロの赤身が大好きなアラサーの一般男性。不動産テック関連の仕事に約10年間従事。宅建免許保有。

今までに様々な業態の不動産会社500社以上とお付き合いさせて頂きました。

マロニーちゃんを食べ過ぎて寝込んたことがあります。

藪から棒にすみません。

アナタは「おとり広告」と言う言葉に聞き覚えはありますか?

不動産業界についてあまり詳しくない方であっても、言葉だけは耳にした事があるかもしれませんね。

〇おとり広告とは?

既に契約になっている好条件の物件をわざと掲載し、その物件目当てでの問い合わせを狙う手法。

営業マン「その物件、ちょうどさっき決まっちゃったんですよ~」

営業マン「でも他にも良い物件がたくさんありますから、ウチで物件を紹介させて下さい!」

何だか腹立たしいですよね。この物件良いなと思って問い合わせをしたら完全な罠。

アナタは蜘蛛の巣に引っ掛かった蝶みたいなものです。

そのまま言葉巧みに誘導されて良く分からないままに紹介された物件を契約してしまう。

なんて事もかつては珍しくありませんでした。

青二才
青二才

と、まあこんな事が頻繁に起きていたら問題ですよね。

昔はさておき、現代では規制も厳しくなっていますのでおとり広告を使って集客している不動産会社なんてほとんどいませんよ。ご安心下さい。

これだけインターネット関連のサービスが生活インフラとして付着している現代で、

そんな手法を取ってまで集客していくなんて最早デメリットの方が多くなっていますからね。

しかし皆さんの反応を観察(主にネットで)してみると、

「気になった物件に問い合わせを入れたらもう決まっていると言われて他の物件を紹介されそうになった!これおとり広告だろ!!😡」

といったような解釈をされている方が多いように見受けられます。

まあ100%おとり広告ではないと断言出来る訳ではないのですが、このケースはほとんど

「こうなってしまうのは仕組み上しゃーない部分があるのよ」で片付いたりします。

青二才
青二才

そこで今回の記事では「契約済みの物件がネットに掲載されてしまう仕組み」

不動産会社の目線から説明させて頂きます!

恐らくこの記事を最後まで読み終えたアナタは、

アナタ?
アナタ?

それならしゃーないかもな。

と考えてくれることでしょう。

何でも鵜吞みにせずに疑う気持ちを持つのは大切ですが、どうでも良いところに噛み付いても

「この客、アホだな」とレッテルを貼られてしまうのがオチですからね。

攻めるべき箇所を見誤らないためにも、まずは何故その現象が起こるのか学ぶところから始めましょう。

ちなみに賃貸でも売買でも、仕組みはほぼ同じですよ。

おとり広告疑惑は客付メインの仲介会社に起こりやすいんです。

多くの物件を取り扱っている不動産会社のカラクリ

まずはここからスタートしましょう。

客付(きゃくづけ)とは何か?という状態の方は下記の説明をご参照下さいませ。

〇客付とは?

買いたい人・借りたい人に対して直接物件を紹介する業態のこと。

皆さんがイメージする「不動産会社」はこの客付業務を行っている姿だと思われます。

反対の言葉としては「元付(もとづけ)」があります。

こちらは売りたい人・貸したい人から直接その依頼を受ける業態のことです。

客付業務を中心としている不動産会社にとって、お客さんを集めることは最優先テーマ。

①お客さんを集める

⇒②たくさんの取り扱い物件の中からその人にマッチした物件を紹介する

⇒③契約

というサイクルを繰り返すことで、客付仲介会社は成長していきます。

青二才
青二才

この①~③の手順のうち、②に注目してみて下さい!

②たくさんの取り扱い物件の中からその人にマッチした物件を紹介する

とありますが、その大量の取り扱い物件はどこから集めているのでしょうか?

Aさん
Aさん

え?

賃貸➡オーナー、

売買➡売主

から直接募集をお願いされている物件じゃないの?

もしアナタが上記Aさんのような感想をお持ちでしたら、少し考えを修正した方が良いかもしれません。

確かに物件を所有している人から直接、物件の募集をお願いされることはあります。

会社の規模や実績によって地域での立場が強い会社であれば上記のような案件を多く抱えられることもあります。

不動産会社としても売主やオーナーと繋がれた方が安定的な収益が見込めますので、会社として目指すべき方向なのは間違いないでしょう。

しかし。

青二才
青二才

多くの物件情報を公開して集客を図っている会社のほとんどは、

他社物件の公開まで裾野を広げる事で物件数を確保しています!

まずはこの前提を抑えて頂けますと幸いです。

自社で直接取り扱える物件だけでは、公開出来る物件の数に限界が生じます。

公開出来る物件&紹介出来る物件の母数が少ないと、お客様一人一人のニーズに沿った物件を案内するにもジリ貧になってしまいますからね。

そのために客付仲介がメインの不動産会社は、他社物件まで含めて多くの物件情報を確保していく必要があるのです。

多くの他社物件を確保するために、客付仲介会社はどんな作業をしている?

ではそんな客付会社が物件数確保のために日々行っている作業についても触れていきましょう。

レインズなどの「不動産業者専用の情報ネットワーク」で最新の物件情報を集める。

レインズのような業者間ネットワークに公開されている物件は全件「客付してOK」なものとなっています。

よって彼らは日々、こういったネットワークを駆使して担当エリア内での最新の募集状況を確認しています。

↓レインズって何さ?という方は一度下記の記事を確認してみて下さい。

会社によっては自社システムを構築してここの作業を自動化しているところもありますが、

自動・手動問わず「物件情報の収集を行う」といった点は共通です。

青二才
青二才

賃貸物件➡他の管理会社が公開している物件を収集

売買物件➡他の元付会社が公開している物件を収集

って感じのイメージですね。

その中から広告掲載(転載)の許可が出ている物件を絞り込む。

レインズなどの業者間ネットワークに公開されている物件には大きく分けて3つの種類があります。

元付・管理会社からの視点でその3つについて解説します。

【1】客付仲介会社の方で好きにネット公開しても良いよ!・・・確認なしで転載OKな物件。

【2】ネット公開するならウチの許可を得てからにして。・・・確認&許可を得られたら転載OKになる物件。

3】紹介はしても良いけどネット公開だけは絶対すんな!・・・そもそも転載NGな物件。

客付仲介会社がスーモやホームズなどのポータルサイトに公開出来る物件は

【1】【2】のうち掲載の許可が得られた物件に限ります。

【2】で許可を得られなかった物件【3】に該当する物件を勝手に公開する事は許されていません。

よって客付仲介会社はここで、公開しても良い物件かの見極め作業を行うのです。

ネット公開するために必要な物件情報の入力作業を行う。

さあ他社物件の中で公開しても良い物件が収集出来ました。

次に行うのが「物件情報の入力」です。

物件概要、間取図、周辺環境、設備のチェック項目、コメント、写真・・・。

1物件でも、物件掲載するには多くの情報を書き出す必要があります。

青二才
青二才

こだわる会社は「物件写真」を自分たちで撮影してきたり、

「間取図」を自社で作成したりもします。

これを100件以上やるとしたらどれだけ大変か・・・。

想像してみると少し境遇が分かるかもしれませんね。

かなり大変な作業なので、特に売買の客付仲介会社は「物件情報入力用のパートさん」を雇う事もあります。

(賃貸なら物件や部屋ごとに一度入力した情報を再利用出来るが、売戸建・売地は1件1件それぞれが別の不動産なので情報蓄積が出来ない事情もあります)

こうして蓄積された自社物件+他社物件が、満を持してホームページやポータルサイトへと掲載されていきます。

農産物なら「出荷」の時ですね。

「物件確認」を一定期間おきに実施して最新の物件情報を維持する。

そしてここが意外にも皆様が理解出来ていない項目の代表格と言えるでしょう。

先ほどやっとの思いで公開まで辿り着いた物件の情報ですが、これも日々状況が変わります。

掲載している客付会社が物件を成約まで導いたなら分かり易いですが、現実には以下のパターンの方が多いのです。

〇元付の会社が直接買主を見つけて契約する

〇売主(賃貸オーナー)の意向が変わり、元付会社の手によって物件情報自体が変更される。

例.急に売主が売却希望価格を100万円上げてきた!など

〇他の客付仲介会社が買主を見つけて契約する

契約に関しては考えてみれば当たり前の話ですが、

元付会社目線で【客付してもOKな物件】&【広告転載してもOKな物件】というのは

他の客付仲介会社にも広告転載の許可を出している可能性が高いです。

よって直接物件を取り扱っている元付会社だけでなく、他の客付仲介会社も常に買主を血眼になって探している状態なワケです。戦国時代です。

※ちなみに「ポータルサイトで1つの物件を5社も10社も公開している謎現象」は

上記のような条件が満たされると現れます。詳しくは以下の記事も参考になさって下さい。

脱線してしまいました。話を戻します。

で、ここで問題なのが

物件が契約になっても元付会社がわざわざ客付会社に報告したりしない事が多い

という事なんです。

青二才
青二才

正確には客付会社への報告が二の次になりがちなんです。

元付会社目線では物件が契約になるとその処理を最優先に行いますからね。

なので客付会社は常に「物件確認(物確)」という作業を行っています。

「○○の物件ですが、まだ残っていますか?」

という電話確認を行うのが一般的です。

これをサイトに公開している他社物件の数だけ行いますので、多くの物件を公開している客付仲介会社はこの作業も専属で雇ったパートさんにお願いするケースが多くなります。

営業担当にやらせるのは非効率的ですからね。

むしろ宅建の免許を持っている主婦の方は、こういった作業を行うパートタイマーとしての求人募集が結構ありますので狙い目ですよ。

青二才
青二才

どれくらいの頻度で行うべきという具体的な基準はないのですが、

週明け月曜日にまとめて実施する会社が多いイメージありますね。

こうして物件確認まで行う事で、気付かずに契約になっていた物件の掲載を落とし、新たに他の物件情報を掲載するサイクルが生まれるのです。

このような作業を日々繰り返すことで客付会社は数多くの物件情報を掲載し続けています。

なぜ「おとり広告疑惑」が発生してしまうのか。

これまでの流れを加味して、おとり広告疑惑が一生無くならない理由を述べていきます。

ここでは賃貸のパターンでまとめていますが、売買も原理は同じです。

たくさんの物件を掲載している客付会社

⇒他社が管理している物件も含めて掲載しないと情報量が足りない

⇒いくら最新の状態をキープしようとしても他社物件に関してはタイムラグが生じる

⇒そんな事情を知らないお客さんが掲載されている他社物件に問い合わせを入れる

客付会社は問い合わせが入ってからその物件の最新の状況を管理会社に確認する

⇒「すみません、もう決まっちゃってますね」と言われたのでお客さんに説明する

お客さん「もう募集が終わっている物件を掲載していた?おとり広告じゃん!!」

とまあ、こんな感じですね。

客付会社が100%真摯に営業していたとしても、物件数を多く掲載していれば起こり得る現象という事が何となく分かりましたでしょうか?

青二才
青二才

問い合わせを貰ってから管理会社に最新状況を確認しますので、

他の客付会社経由で物件が契約になっていたらそれまでなんです。

お客さんには「ちょうどさっき決まってしまいまして」と言うしかないんですよ。

なのでこれだけで「おとり広告を載せていたのか!」と判断するのは機会損失の可能性ありますよ。

もしかしたらその客付会社さん、ちゃんとしている会社(担当者)かもしれませんからね。

また管理会社・元付会社目線で考えてみると、

管理会社
管理会社

お客さんから「申込」が入ったけど・・・

管理会社
管理会社

まだ「契約」が確定した訳ではないからネットやレインズへの公開はそのままにしておこう。

こういった対応をするケースも多いのです。

この段階では物件がネット上に残っていますので、客付会社からしたらその状況は把握し切れません。

100件以上公開しているような会社だと特に、1件1件のタイムリーな近況など確認しようがないのです。

以上が「おとり広告疑惑」が客付メインの会社で起こりやすい理由になります。

結論:闇雲に不動産会社=悪者と決めつけるのは得策ではないですよ。

今回の記事をまとめさせて頂きます。

内容としては「おとり広告疑惑がなぜ起こるのか」についてのまとめなのですが、

それ以上に皆さんに伝えたいテーマがあります。

青二才
青二才

不動産会社にも普通に良い会社はありますし、世間のイメージ通りロクでもない会社もあります。その判断を正確に下せるなら全く問題はありません。

青二才
青二才

しかし「そんなところで悪い不動産会社だと判断するのは間違えているよ!」

というケースが多過ぎるんじゃないか?と思ってしまうこの頃なのです。

例えば今回の場合。

客付会社側は一生懸命お仕事しているだけだったとしたらどうでしょう?

管理(元付)会社の情報処理が遅いのが原因で「もう決まっている物件」が掲載され続けていたとしたら?

そのうえで「他にも良い物件はありますので、是非ウチで紹介させて下さい」と言われたら?

別に客付会社は何一つ悪いことをしていませんよね。

それなのにここだけ切り取って

「おとり広告なんて汚い手段を使う不動産会社は信用出来ない!二度と行かない!」

と決めつけてしまうのは賢明ではありません。

そう思う気持ちも分かりますが、今日私が書いた記事が頭の片隅に残っていれば

「それならしゃーないかもな」と思えるようになります。

その客付会社がちゃんとアナタにピッタリな条件の物件を探し出してくれるかもしれませんからね。

青二才
青二才

改めてとタイトル回収ですが、「不動産会社のしくみ」が分かるようになると、より正しい判断基準をもって不動産会社を評価出来るようになります。

部屋を借りる時も住宅を買う時も、結局どこかしらの不動産会社を経由する必要がある訳ですから。

不動産会社=悪者という固定概念は捨てて、相手を理解したうえで自分の価値観に従って信頼出来る不動産会社さんを見つけていきましょう。

では今回はこの辺りで。

※と、キレイに終わらせましたが実際にはクソみたいな不動産会社が存在するのも事実です。

決めつけは良くないですがその会社(担当者)を信用出来るまでは疑う気持ちも忘れず持っておきましょうね。

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