初期費用に入っているナゾ項目「賃貸保証料」。賃貸保証会社が何の会社なのか徹底解剖します。

賃貸
青二才
青二才

近ごろ寒暖差やばいですね。どうも青二才と申します。

〇簡単なプロフィール

マグロの赤身が大好きなアラサーの一般男性。不動産テック関連の仕事に約10年間従事。宅建免許保有。

今までに様々な業態の不動産会社500社以上とお付き合いさせて頂きました。

足の親指の爪から発せられる匂いが、好きか嫌いか分からないのが最近の悩み。

さて。いきなりで恐縮ですが、アナタは「賃貸保証料」を支払った事がありますか?

賃貸で部屋を借りている人の大半は、初期費用の一部として払っているのではないでしょうか。

もちろん家を購入した人は払っていないと思いますが、過去賃貸に住んでいた時期があるならば払っていたかもしれませんね。

今回の記事はそんな賃貸保証料についてのお話です。

青二才
青二才

なんとなく払っている人も多い賃貸保証料。

何のために払っているか、ちゃんと理解していますか?

「いや、良く分からないけど何かを保障してくれてるんでしょ(字誤り)」

「払わないと物件オーナーが入居させてくれないって言っていた気がする。覚えてないけど」

はい、恐らくですが「支払う明確な理由を把握している人は全体の一割に満たないのではないか?」

と個人的に考えております。

そこでまずは賃貸保証料を受け取っている「賃貸保証会社」の仕組みから学ぶことで、何のために賃貸保証料を支払っているのかを理解してみましょう。

青二才
青二才

結論から言えば基本的に払わないといけない費用です。

知ったところで支払いを拒否できるわけでもありません。

青二才
青二才

しかしその詳細を知っておくことで「交渉すべき項目でないこと」が分かれば、

適切な箇所にだけ噛み付ける優秀な交渉人になれるかもしれませんよ。

何でも疑って「この費用は何?払いたくないんですけど!」と言ってくるお客さんは

不動産会社にまともに相手にされなくなる可能性もありますから気を付けましょうね。

賃貸保証会社を仕組みから学ぼう

誰にとって有益なサービスなのか?

先に結論から申し上げます。

「賃貸オーナー」のために存在しているサービスです。

大多数の善良な入居者にとっては、保証料を払っても何も得はありません。

はい、いきなりそこそこ衝撃的な内容になってしまったかもしれませんね。

そうなんです。

普通に賃料を払って、普通に何の問題もなく生活して、何事もなく退去していく。

そんな善良な入居者にとっては払い損と言って差し支えないのです。

青二才
青二才

賃貸保証料は会社やプランによって変動しますが、

入居時に「総賃料の50%」を払うケースが多い印象です。

もし家賃+管理費(共益費)が10万円なら入居時に賃貸保証料として5万円の支払い。

この5万円が払い損と考えると何だか腹が立ってきますね。

しかし、ここは一度冷静になって下さい。

まずはこの賃貸保証会社のサービス内容について学ぶところからスタートしてみましょう。

青二才
青二才

家賃の半分・・・。

美味いマグロがどれだけ食えると思ってるんでしょうね。

分かってます。私が冷静にならないとダメですよね。では次に行きましょう。

賃貸保証会社のサービス内容

簡単に言えば「保証人の代わりになってくれる会社」です。

今でこそ賃貸保証会社の普及でだいぶ形を変えてきていますが、元々物件を借りる時には「保証人」を付けるのが当たり前でした。

もしも借主が急に家賃を払ってくれなくなったら、オーナーさんは困りますよね。

そこで保証人の出番です。

管理会社経由で支払いの催促をしても家賃を回収出来ないなら、保証人にその分の家賃を立て替えてもらう事が出来るのです。

ここでもし保証人がいなければ家賃回収にリスクが生じてしまう以上、オーナーは安心して部屋を貸すことが出来なくなってしまいます。

青二才
青二才

そこで誕生したのが保証人の代わりになってくれる会社、賃貸保証会社です。

オーナーにとっても保証人が個人よりも法人の方が安心出来ますしね。

※今では保証人よりも賃貸保証会社の方が優先されています。ここには別の理由もあるのですが、今回の記事では関係ないので割愛させて頂きます。

賃貸保証会社の大まかなビジネスモデルはとてもシンプルです。

1部屋あたり賃料10万円、全部で10部屋ある賃貸マンションがあったとしましょう。

更に賃貸保証会社の初回保証料が「賃料の50%」だったと仮定します。

この場合全ての部屋で、契約時に10万円×0.5=5万円の賃貸保証料を徴収出来ます。

単純計算で1物件10部屋なら5万円×10部屋で50万円の売上ですね。

では支出はと言いますと、保証人代わりなだけあって入居者が賃料未払いになったりすると発生します。

賃料未払いの状態が続けば、一旦家賃を立て替えつつ本来支払うべきだった入居者に取り立てを行います。

昔はこの取り立ても凄かった(意味深)のようですけどね。

今では無茶苦茶な方法こそ取られませんが、それでも当然に支払い督促はあります。

こういった入居者が増えると保証会社の負担が大きくなっていき、これが売上を上回るような状態になってしまうと経営状態が一気に悪くなります。

青二才
青二才

文章にするとハイリスクな仕事に見えるかもしれませんが、

保証会社はこういった事態になるのを防ぐために、入居前に審査を行います

要するに「最初からヤバそうな人は事前に弾いておく」事が出来るのです。

つまるところ、賃貸保証会社の理想的ムーブは以下の通り。

入居前の審査で「支払い能力がなさそうな人」「収入が不安定な人」などを排除。

善良な入居者のみを審査で通過させ、保証料金を受け取る。

全員が何事もなく退去まで進む。更新する時にも一定金額を再度受け取る。

これを繰り返す。

⇒この通りに遂行し続ければ、常に丸儲けのビジネスモデルが完成!

まあ実際にはここまで上手くは行きませんがね。

しかしある程度収益性が高いからこそ、実は日本国内には既に相当数の賃貸保証会社が存在しています。

成長中の保証会社だと審査基準を緩めることでリスクを取って利用者を増やしたりする事もありますね。

その場合「倒産リスク」を無視出来ないので、結果的に既に大手になっている保証会社へ仕事が集まる傾向にあるのも業界の特徴です。

なぜ賃貸保証料を払わなくちゃいけないのか?

賃貸保証会社と契約しない人は入居させない!とオーナーが定めているから

会話方式にまとめてみましたのでご覧下さい。

オーナー
オーナー

家賃の滞納は本当に困る。毎月入ってくるはずの賃料を計算して生活しているんだから。

これ何とかならんの?支払い能力がなさそうな人は入居させないとかさ。

管理会社
管理会社

それなら賃貸保証会社を使った方が良いですね。

万が一家賃滞納があったら立て替えてくれます。

また彼らも損したくないですから、そのぶんちゃんと入居前に審査もしてくれますので、

ある程度支払い能力がありそうな人だけを入居させる事も出来ます。

オーナー
オーナー

何それ最高では?逆にワシにとってのデメリットはないの?

管理会社
管理会社

大きなデメリットはないですね。

強いて言うなら保証会社が倒産すると大変ってことくらいでしょうか?

そこも大手の保証会社で契約すればリスクを減らせます。

オーナー
オーナー

じゃあ大手の保証会社でお願いしようかな。管理会社さん、実績のある保証会社を紹介してよ。

あとオーナー負担の料金はどうなっているの?

管理会社
管理会社

じゃあこっちで会社も選んじゃいますね。(紹介料貰えるところにしよ♪)

料金ですが、借主から入居時に受け取るので特に掛かりませんよ。

入居者にとってはそのぶん初期費用が高くなりますけどね。

オーナー
オーナー

賃貸オーナーにはありがたいサービスじゃな~。

家賃の滞納リスクを入居者が払ってくれたお金でカバー出来るんじゃから。

じゃあ保証会社を通したくないって人は入居をお断りってことにします!

管理会社
管理会社

了解しました。その案で適用させて頂きつつ、不都合が生じるような事があれば都度ご連絡しますね。

と、まあこんなイメージでOKです。

オーナーがそう定めているのだから、もし不満をぶつけたとしても

「じゃあ貸さないよ」

の一言で終わる話なのです。

オーナーが賃貸保証会社を利用するメリット

①費用は入居者が支払ってくれる。

②保証人を立てなくても良くなる。

③家賃滞納があっても一定期間は保証会社が立て替えてくれる。

④保証会社の審査で少なくとも「経済的に不安がある人」を排除することが出来る。

大きく分けるとこの4項目ですね。

オーナーからすれば少なくとも金銭的な部分では安心出来ますよね。

管理会社が保証会社を利用するメリット

①費用は入居者が支払ってくれる。

②保証会社をオーナーに紹介することで、保証会社から紹介料(キックバック)が貰えたりする。

③家賃の滞納があっても取り立て業務をしなくて済むようになる。

④保証会社によっては家賃の回収を代行してくれるところもあり、業務負荷が軽減する。

管理会社目線でもメリットは多いです。

保証会社ビジネスは競合他社との差別化が難しい(本質的にやる事がほぼ同じだから)ですので、

管理会社に紹介してもらうのが最も合理的です。

となると管理会社にも旨味がないとダメですので、キックバックを渡したりする訳ですよ。

青二才
青二才

また業務負荷軽減に繋がる部分も無視出来ません!

管理会社って結構忙しいですからね。

そのうちの「未回収家賃の取り立て」や「家賃の入出金管理」などをサポートしてくれるなら、そのぶん他の仕事をこなせるようになり一石二鳥となります。

なぜメリットがないのに賃貸保証料を払わなくちゃいけないのか?

ここまでの内容で少なくとも「オーナー」「管理会社」にとって利用メリットがある事は伝わったかなと思います。

しかし入居者にとってのメリットはあるのでしょうか?

冒頭でも書きましたが、

「大多数の善良な入居者にとっては、保証料を払っても何も得はありません」

という言葉に嘘偽りはありません。

お部屋を借りて2年で退去するとして、ちゃんと初期費用&24ヶ月分の賃料を支払い続けられるなら、保証会社に面倒見てもらう必要がないからです。

賃料の50%を入居時に払っていたなら、その分が丸々保証会社の財布に入ることになります。

青二才
青二才

ちゃんと賃料を払えると判断して借りようとしてるんだよ!

そりゃ払えなくなる人もいるだろうけど、そういう人からのみ保証料を取ればいいだろうが!

青二才
青二才

・・・と、私も昔は思ってたんですけどね。

しかし「賃料を払えるかどうか」を客観的に証明するのは難しいんですよ。

オーナーから見たら入居者全員滞納リスクがありますからね。

どんなに毎月のキャッシュフローが安定している人でも、

・勤めている会社が倒産して収入が激減するかもしれない

・心や身体を病んで仕事に行けなくなり、収入が激減するかもしれない

・突然会社を辞めてフリーランスになり収入が激減するかもしれない

・突然大金が必要になり貯金が0円以下になってしまうかもしれない。

といったリスクを常に抱えています。

そしてそれらのリスクを100%カバーするには、賃貸保証会社を利用するのが合理的なんです。

青二才
青二才

ぶっちゃけて言えばオーナーにとって最優先なのは「毎月の家賃をちゃんと回収する事」です。

「運悪く収入が下がってしまい家賃が払えなくなった」

という入居者に同情こそするかもしれませんが、はっきり申し上げますと

「どうでも良いから家賃はちゃんと払え」が本音です。

よって「なぜメリットがないのに賃貸保証料を払わなくちゃいけないのか?」への回答としては

『アナタが家賃を毎月支払い続けられるかどうか、オーナーに証明することが出来ないから」

とさせて頂きます。

まあこれを要約すると「オーナーがそう決めているから」になるんですけどね。

ちなみに「それでもどうしても賃貸保証料を払いたくない!」という強者の方は、

家賃2年分(契約期間分)を満額、一括で支払うから!と交渉してみましょう。

滞納リスクが無くなるので、オーナーによっては許可が下りるかもしれませんよ。

青二才
青二才

そんなお金ないよって人は、素直に賃貸保証料くらい払ってしまった方が賢明です。

イヤなのは分かりますが、ここは交渉してもあまり良い方向に転がりませんから。

番外編:保証会社が倒産するのはどんなとき?

少し本題とは逸れますが、保証会社が倒産する時のパターンについても軽く説明させて頂きます。

◎家賃の滞納率が許容範囲を超えたとき

保証会社の理想的ムーブは「滞納0で契約している入居者全員が何事もなく退去すること」です。

逆に破滅的ムーブとしては「滞納だらけで立て替えばかり、回収もままならない状態に陥ること」です。

ここの許容範囲は保証会社によって異なりますが、家賃の滞納って1ヶ月で済まない事も多いので、滞納者が増えれば増えるほどオーナーへの立て替え費用として現金が飛んでいきます。

この回収に手こずっているうちに費用が重なっていくとゲームオーバーになります。

青二才
青二才

契約数を増やしたいと考えた保証会社が入居審査の基準を緩めるとこうなったりします。

入居審査基準を緩くすれば、今まで断っていた人たちが通過出来るようになります。

そうなれば当然滞納リスクが高まります。この辺は先ほども説明させて頂きましたね。

あとは類似しているのですがもう一つあります。

◎短期間で一気に滞納者が増えたとき

2020年~のコロナ騒動でも問題になりましたが、社会全体を揺るがす出来事が起こると、今まで普通に家賃を払えていた人が払えなくなったりします。

これが一気に起こると保証会社は大変です。何となく想像出来ますよね。

実際にコロナショック時に倒産した保証会社もあります。

保証会社が倒産してしまうと、契約していた入居者が保証人を付けていなかった場合は何も後ろ盾がない賃貸契約になってしまいます。

新たに別の保証会社を付けようにもその初回保証料はどうするんだ!などと、まあ揉めそうですよね。

以上が保証会社の倒産するケースの紹介でした。

保証会社がどうやって収益を上げているか、どうなると経営が苦しくなっていくのかが分かったところで、本記事のまとめに入らせて頂きます。

今回のまとめ

☆賃貸保証会社を利用してメリットがあるのは「オーナー」であって「善良な入居者」にとっては何のメリットもない。

☆それでも「賃貸保証料」は仕組みとして支払わなければならないものなので、割り切るべき。

☆基本的にオーナー指定の保証会社を利用することになるので、入居者が選ぶ事は出来ない。

払っても戻ってこないお金なのでとてもイヤですが、払わないとその部屋に住めないので仕方なく払うべきっていう結論ですね。

青二才
青二才

保証人を付ければ賃貸保証会社を使わなくても良いのでは?

とも思うかもしれませんが少し前にルールが変わりましてそれも難しいです。

今はほとんどの物件でどこかしらの保証会社と契約しないとダメな状況と言えます。

※気になる方は「保証人 極度額」で検索してみて下さい。

個人的には

「毎月賃料を払っている人にとってメリットがないのはどうなのさ」

と思うところもありますが、社会全体で見ればギリギリ許せます。

保証人を立てられずに希望の物件に住めないような人にとっては、法人として保証人の代わりになってくれる保証会社は救世主ですからね。

そんな保証会社が存続していくためには仕方のないことだ!

と割り切れれば少しは溜飲も下がるでしょうか。

青二才
青二才

なのでこれを見たアナタは、初期費用を安くするなら「賃貸保証料」以外の項目で交渉出来そうなところを探していきましょう!

全ての項目で値切り交渉するよりもピンポイントに突くべきところを突いた方が成功率が上がりますから!

では今回はこの辺りで。

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