仲介手数料50%引きの甘い罠。値引きしてくれる賃貸仲介会社が儲かる仕組みとは。

賃貸
青二才
青二才

どうも。青二才と申します。今回は賃貸の初期費用シリーズです。

〇簡単なプロフィール

マグロの赤身が大好きなアラサーの一般男性。不動産テック関連の仕事に約10年間従事。宅建免許保有。

今までに様々な業態の不動産会社500社以上とお付き合いさせて頂きました。

見通しの悪い道路で無邪気に飛び込んでくる小さい子供が苦手。

突然ですが。

アナタは賃貸の仲介手数料を支払ったことありますか?

過去に賃貸でお部屋を借りたことがある人なら、多かれ少なかれ支払った経験があるはずです。

仲介手数料=物件を紹介してくれた不動産会社に払う報酬のこと。

総額で賃料の1.1ヶ月分(税込)ですので、家賃10万円の物件なら仲介手数料は11万円になります。

また本来のルールに則ればその配分は「借主が0.5ヶ月、貸主が0.5ヶ月」が普通のはずですが、

少なくとも現代においては慣習として「借主が1ヶ月、貸主が0ヶ月」となっている点も気になるところです。

青二才
青二才

この辺りについては有名なインフルエンサーの方も「借主が支払うのは0.5ヶ月であるべき」と見解を述べていたりしますね。私自身も借主の立場であれば仲介手数料なんぞ1円も払いたくないと思ってしまいます。

ですが今回の記事ではこの点は深堀りせずに、借主が1ヶ月分支払う前提で進めていきます。

(そのテーマを語り出すともう戻ってこれないくらい横に反れますので、また別の機会に)

さて、そんな中でちゃんとサービスとして「仲介手数料を50%引きでやりますよ!」

と事前にアピールしてくれている不動産会社も実在します。

有名な会社であれば「ミニミニ」「エイブル」などですね。

皆様が住んでいる地域には他にも、仲介手数料を半額くらいまで下げて対応してくれる会社があるかもしれません。

お客さん
お客さん

どうせ仲介手数料を払わなきゃいけないなら、少しでも安いところが良いよね。

半分で良いって言ってくれてるんだからそこで契約した方が絶対お得では?

ええ、ええ。皆様がそのような考えに至るのも無理はありません。

しかし実は、必ずしも仲介手数料50%の会社で契約した方が良いとは限らない理由があります。

そこで本記事では仲介手数料50%を掲げている賃貸仲介会社のビジネスモデルの全貌を暴きつつ、

なぜこういった「一見お得そうな会社」にも落とし穴が存在しているかについて解説していきます。

初めての試みとして本題に先立ってヒントをチラ見せ(大嘘)させて頂きますね。

「仲介手数料50%」は決してお客様のための企業努力ではなく、効率良く収益を上げるための施策です。

仲介会社にとって「仲介手数料を値引く」ことの意味は?

皆さんがお部屋を借りる時に支払う初期費用から考えてみましょう。

賃貸仲介会社Aに賃料7万円の物件を紹介して貰い、そのまま契約に至ったとします。

前家賃:7万円(実際はもう+1ヶ月分先に払うこともあります)

敷金:1ヶ月(7万円)

礼金:1ヶ月(7万円)

火災保険:15,000円/2年

賃貸保証料:20,000円/2年

仲介手数料:賃料の1ヶ月分(7万円)

合計:346,500円(税込)

上記が初期費用として支払う項目の内訳です。

鍵交換費用、消臭代、謎の事務手数料などの項目はここでは邪魔なのでないものとして扱います。

どうですか?

高いと思いませんか?

実際には敷金や礼金が0ヶ月の物件があったりもしますのでもう少し抑えることも可能ですが、それでも高いですよね。

青二才
青二才

くそくそ!不動産屋め!ぼったくりやがって・・・と思うかもしれませんが。

青二才
青二才

実はこの中で不動産会社の利益になるのは「仲介手数料だけ」なんです。

高額な初期費用なので不動産屋が丸儲けしていると勘違いしがちですが、実はそういう訳でもないんですよね。

☆初期費用で支払ったお金はどこに行く?

前家賃&敷金&礼金・・・オーナーの利益

火災保険料・・・保険会社の利益(ケースによって不動産会社に紹介料入ることも)

賃貸保証料・・・賃貸保証会社の利益

仲介手数料・・・仲介会社(不動産会社)の利益

つまり総額で30万円を超える初期費用になったとしても、

そのうち不動産会社の利益になるのは仲介手数料分のみという事になります。

その仲介手数料分で物件の内見から契約書・重説の作成、引き渡しまでの業務を担うのです。

青二才
青二才

よって不動産会社にとって仲介手数料を値引くという行為は、

単純に「貰えるはずだった報酬を引き下げて仕事を受ける」という意味合いになります。

※賃料や礼金などの項目の値引きはオーナーの許可がいりますのでまた別のお話です。

ここで「借主から0.5ヶ月にしてオーナーから0.5ヶ月貰えば1ヶ月分になるし良いじゃん!」

と思う方は勉強している方ですね。

確かにその通りではあるのですが、

「どんな時も必ずオーナーが仲介手数料を0.5ヶ月分支払ってくれるのか?」

と聞かれたら、やはり慣習として

「そうはなっていない事の方が多い」

と返答せざるを得ません。

賃貸の仲介会社にとって、賃料の1ヶ月分である仲介手数料という収入はとても重要なもの。

オーナーから半分貰えないなら入居者から満額徴収する他ないのです。

(この辺りは不動産会社目線での考え方に沿っています。しかしオーナーが「仲介手数料を1ヶ月分払わないような入居者には物件を貸さない」と言えばそれまでなのも事実なんです)

じゃあミニミニやエイブルのような会社はなぜ50%引きで対応出来る?

ここまで、仲介会社にとっていかに仲介手数料が大切な収入源かという話を展開してきました。

青二才
青二才

そんな大切な収入源を、なぜ自ら50%まで値下げ出来るのでしょうか?

候補① ルールには従うべきだ!と利益を削ってでも理想を追求しているから

「仲介手数料?借主に1ヶ月分請求するなら事前に許可を得ないとダメなんだぞ!」

「そんなのフェアじゃないだろ!損するかもしれないけど毎回オーナーを説得して、ちゃんと入居者とオーナーから0.5ヶ月分ずつ受け取るようにしよう!」

青二才
青二才

ま、まぶしいや。。。

不動産業界も本来こうあるべきだと思いますね。

しかし残念ながら不動産会社だけに限らず、こんなクリーンなだけの会社は営利企業として生き残れません。

会社として利益を上げながら、顧客のニーズに応え続けるのが営利企業の鉄則です。

このやり方ではオーナー次第で仲介手数料を満額受け取ることが出来なくなり、想定していた収益を上げられなくなるのが目に見えています。

候補①は×です。

候補② 仲介手数料以外で入居者からお金を受け取っているから

「仲介手数料は半分で良いです。しかし当社で指定した火災保険を契約する必要があります」

「害虫駆除も行ってますので、こちらで20,000円頂戴します」

「鍵は必ず交換して下さいね。あと24時間サポートの契約もお付けすることになっています」

青二才
青二才

急に嫌な風が吹いてきましたねえ。

先に言っておくと候補②は〇でも×でもなく、△です。

会社によっては仲介手数料50%で客寄せしつつ、何だかんだ理由を付けてそれ以外の項目で請求して帳尻を合わせようとする事があります。

上記だと火災保険はキックバック(紹介料)が仲介会社に入る程度なのでまだマシですが、

害虫駆除なんかはどこまでちゃんとやってくれているか分かったものではありません。

適当にスプレーして終わり!これで数万円!なんてケースも考えられます。

しかし、昔と違い今はお客さんも知識を得ているので、契約前の見積もりの段階でこういった項目に気付き、ツッコミを入れられる人も増えてきています。

その程度の対策で消沈してしまうようなギミックでは、仲介手数料を半額にするリスクと見合いません。

候補②はあくまで初見殺しテクニック。なので△という評価なのです。

!お客様目線では注意が必要な項目です!

※これらの項目を管理会社が指定している場合は必須条件になりますので、仲介会社の一存では外せないケースもあります。

※また必須でないとしてもオプションを外してもらおうと粘り強く交渉し続けることで「じゃあアナタには契約してもらわないで結構!」となりそのお部屋を借りれなくなる可能性もあります。

➡どうしても入居したい物件に余計なオプションが付いている時は、「絶対に住みたいから仕方なく払う」「絶対に払いたくないから住めなくなるとしても断る」どちらがアナタの強い希望なのかを判断して交渉に臨むのが賢明かもしれません。

候補③ やり方次第で、普通に仲介するよりも効率よく儲かるから

青二才
青二才

はい、正解です。候補③が〇です。

せっかちな性分で大変申し訳ありません。

ですが「経営努力で仲介手数料を50%引きにしてくれている」訳ではないんですよ。

ちゃんと儲けが出るから、仲介手数料を50%引きにしているんです。

次の項目でそのしくみを解説していきます。ここ、大事なところです。

むしろ仲介手数料50%引きの会社の方が効率よく稼げる?

先に結論から提示させて頂きます。

☆仲介手数料50%引きの方が儲けが出るパターン☆

お客さんからは 仲介手数料0.5ヶ月受け取ります。

オーナーからは 仲介手数料としては0ヶ月です。

しかし別途、オーナーから「広告宣伝費」を1~2ヶ月分、報酬として受け取れる物件があるのです。

※広告宣伝費は他にも「広告料」「AD」とか様々な呼称があります。

もし広告宣伝費が別途で2ヶ月分手に入る物件を紹介して契約になったら?

入居者から0.5ヶ月分、オーナーから2ヶ月分。計2.5ヶ月分の利益を確保出来ます。

これが「仲介手数料を50%引きにした方が効率よく稼げるしくみ」です。

・・・・・・・・・。

え、そんなのありなの?と勘の鋭い人は感じたりするかもしれませんね。

宅建業法(ルール)では基本的に不動産会社が受け取っていい報酬は仲介手数料のみと定められています。

しかし営業活動を行うにあたっての実費に関しては、広告費として受け取ることが出来るのです。

もう完璧に慣習として根付いてしまっていますが、冷静に考えると少しズレていますね。

本当、不動産屋は法を犯さないギリギリのラインを攻めるのが上手いなあと感心します。

この手法を用いれば、お客さんからの仲介手数料を半分にするくらい何の問題もありません。

青二才
青二才

じゃあこういった仲介会社は全ての物件を仲介手数料50%引きに出来るんでしょうか?

優先して紹介してくるのは「オーナーが広告費を出してくれる物件」

すぐ上の青二才の質問に回答します。

答えはノーです。

※理論上はイエスですが、それだと儲からないのでノーに翻ります。

オーナーが広告費を別途で出してくれる物件」か、

「その会社が管理している物件で早く入居させること自体にメリットがある物件

じゃないと、仲介手数料を50%値引く旨味がありません。

ではどんな物件ならオーナーが広告費を払ってくれるのでしょうか?

オーナー
オーナー

ワシが所有している○○マンションは退去が出てもすぐに次の入居者が決まる。

○○マンションは人気が高い物件なんじゃな!

オーナー
オーナー

でも××マンションは中々満室にならないのう・・・。

お客さんにとって魅力的ではないんじゃろうか。

この2つの例を比較すると、

○○マンション⇒人気が高く、何もしなくても決まる物件。収益性が高い。

××マンション⇒人気が低く、何か工夫しないと決まらない物件。収益性が低い。

となります。

となれば××マンションについては何らかのテコ入れが必要ですよね。

♦××マンションへのテコ入れ案♦

家賃を下げて相場よりも安くする

⇒決まるかもだが年間の賃料収入が下がる。一度下げた家賃は上げ辛い。

部屋の設備を充実化させてお客さんの目に留まるようにする

⇒決まるかもだが先行投資で現金が減る。家賃を上げれないとその分の回収も難しいが、家賃を上げると結局決まらないかもしれないというジレンマを抱える。

広告費を多めに払うことにして、仲介会社にやる気を出してもらう

⇒契約時に費用が多く掛かるが物件の条件自体は変えなくて済む。工夫の中では一番ラク。

こう見ると、不人気な物件にテコ入れをするなら③が一番手っ取り早いし効果が出やすいんですよ。

賃貸仲介会社はこの「広告費」が高く設定されている物件を優先的に紹介しますので。

つまり

「エイブル・ミニミニのような仲介手数料を50%引き対応の不動産会社が優先的に紹介してくる物件」=「××マンションのように不人気でオーナーが余分にお金を払ってでも何とかしたいと考えている物件

という事になるのです。

青二才
青二才

ここで注意が必要なのは「広告費」が付いている物件かどうかは

一般のお客さんには分からない仕様になっていることです。

不動産会社間の機密情報なんですよ。

ただし不人気な物件と言っても、その不人気要素が気にならない方なら問題ないというのは伝えておきます。

駅から遠くて不人気な物件だったとして、

「通勤は車だから駐車場が空いているなら問題なし」

という方ならむしろ割安で借りれますし、

築年数が古くて外観がぼろぼろの物件でも

「部屋の中がキレイなら外観なんて気にならんね!」

という人にとってはお得な条件の物件となります。

青二才
青二才

こういった仲介会社は「不人気な物件をさも魅力的な物件であるかのように伝えて紹介してくるんだよ」という事を理解して頂けたなら嬉しいです。

○○マンションのような素晴らしい条件の物件は住みたい人も多いので、余計なサービスを施す必要がないという事実もついでに頭に入れておいた方が良いでしょう。

他社で紹介された物件を仲手50%引きの会社で紹介し直して貰うのはアリ?

これまでにお伝えしてきた内容の応用編です。

現在わたくし青二才はYahoo!知恵袋で不動産関連の質問に答えるのがマイブームなのですが、

その中に表題のような内容の問いかけがありました。

「他社で紹介して貰って物件は気に入った。けど仲介手数料を1ヶ月分払いたくないから仲手0.5ヶ月で対応してくれる不動産屋に行って、同じ物件を紹介し直してもらうのは違法なのか?

という内容です。

まあ、質問者様が言わんとしている事は分かるんです。

理論上、その物件の管理会社が全く別にあって複数の仲介会社に募集を依頼している状況なら出来る事ですから。

青二才
青二才

個人的には道徳的にどうなんだという部分に目を瞑るなら、しちゃってOKです。

でもその対象物件が「オーナーが広告費を出してくれない物件」だとしたら、仲手50%引きの仲介会社にとって紹介するメリットが弱いのでやんわり断られる事もあります。

※ただし不動産業界の慣習的にはアウトなので、どうしても仲介手数料を1ヶ月分払いたくないなら最初から仲手50%引きの会社に行くのがベストです。

結構「不動産屋=ぼったくり」という印象だけで損得を判断してしまう人が多いんだなと再認識しましたね。

そういった人が多ければ多いほど、仲介手数料50%引き対応の仲介会社はウハウハになっていくというのが面白いところですけどね。

まとめ:仲手50%引きの会社に全幅の信頼は寄せず、上手く利用しよう。

お客さんと不動産屋。双方にメリットがある状態を作り出せるのが理想です。

最後に今回の記事で最終的にお伝えしたかったことを以下に短文でまとめます。

●仲手50%引きの会社はオーナーからの広告費で儲けている。⇒彼らの管理会社に対する口癖は「この物件広告費どれくらい出ます?」

●決してお客様のために身を削って努力している訳ではなく、儲かるからそうしている。⇒仲介手数料を50%引きにしているので、お客さんも集まってきやすい。

●営業マンが紹介してくるのは「オーナーが広告費を出してくれる物件」の中から選定した、アナタの希望条件に一番近そうな物件。⇒数万円の仲介手数料をケチった結果、本当に良い条件の物件に住めなくなるリスクがある。

ざっくりこんなところでしょうかね。

青二才
青二才

こういった会社を上手に活用するなら、事前にWEBで見たい物件のページを調べておくことをオススメします。別の会社が公開している物件でもOKです。

青二才
青二才

仲介会社はWEBで出てるほとんどの物件を理論上紹介することが可能ですからね。

「この物件は仲介手数料50%で対応してくれますか?」

と逐一聞きながらこちら主導で希望を伝えていくのが良いでしょう。

何となく悪そうだというイメージだけで不動産会社を過度に忌み嫌うのではなく、しくみを把握して逆に利用してやるくらいの精神で挑みましょう(笑)

不動産会社もアナタも、本質的には自分にメリットがある事しかしたくないのですから。

ちゃんと必要な不動産知識を蓄えたうえで、win-winの取引が行えるようにしていきましょうね。

では今回はこの辺りで。

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